ファイナンスでは、資産の価値を「その資産が将来生み出すキャッシュフローの現在価値」としてとらえる。キャッシュフローの現在価値を算出するときに用いるのが、DCF法(割引キャッシュフロー法)である。
DCF法(Discounted Cash Flow Method
:割引キャッシュフロー法)
DCF法とは、キャッシュフローの現在価値を算出するときに用いる方法だ。DCF法では、資産の金銭的価値を「その資産が将来生み出すキャッシュフローの現在価値」と定義する。ある資産が、1年後、2年後、3年後……n年後にC1、C2、C3……Cnのキャッシュを生み出すと想定する。このときのリスク(割引率)をrとして、DCF法で資産の価値(PV)を求めると以下のようになる。
たとえば、年間の家賃収入が350万円、維持管理費が50万円で、10年後に取り壊される予定の住宅の金銭的価値は、割引率を5%とすると下記のようになる。
下の図は、住宅の事例を使ってDCF法のロジックを説明したものだ。DCF法では、「住宅を所有すること」と「住宅が生み出すキャッシュフローを所有すること」は同等の価値がある(イコールの関係)と考える。また、「住宅が将来生み出すキャッシュフローを所有すること」と「そのキャッシュフローの現在価値相当分の現金を今日所有すること」も同等の価値がある。したがって、「住宅の金銭的価値」は「それが将来生み出すキャッシュフローの現在価値である」という結論が導き出される。