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知的労働の中でもAIに代替されやすいとされているのがコンサルティング業だ。AIエージェントという一大市場を前にそれぞれ陣容を整える大手コンサル各社は、AI時代にどう「生き残る」のか。実はAIエージェントの普及は、コンサルの稼ぎ方そして採用慣行にも大きく影響を与えそうだ。特集『DX2025 エージェントAIが来る』(全21回)の#15では大手コンサルファーム3社に新時代への立ち向かい方を聞いた。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
AIへの代替性が高いタスクを多く抱えるコンサル業界
生き残りの戦略をどう描くのか
高給職として新卒学生の志望業種毎年ナンバーワン。IT業界の中でも最終的に目指す転職先として変わらず不動の人気を集めるコンサル業界。そんなコンサル業界にとって「AIはその存在の本質を揺るがす」ものになるかもしれない。
クライアントが抱える経営問題を調査し、その改善策をパワーポイントに提案書としてまとめ、提示する。これまでコンサルに頼まなければできなかったことの多くの部分が、AIで数分でできるようになってきているからだ。「レポートを一つ提出して去っていくコンサルに頼むよりも、AIを使って自社で何案か分析を出した上で、社内で経営改善のサイクルを回していく方が合理的だ」(大手メーカー幹部)というクライアントも出てきている。
これまで、経営改革やDX、基幹ITシステム刷新といった社内のあらゆることに対して、コンサルを頼みの綱としてきた企業は特に日本では多い。そうした「コンサル依存」で成り立ってきた市場が、高度なAIエージェントの普及で崩れる可能性が高まって来ている。
国連の専門機関である国際労働機関(ILO)が2023年と25年にかけて2万9753のタスクと1640人を調査対象としてまとめたワーキングペーパーでは、高度にデジタル化された専門・技術職がAIの影響を受け、仕事を代替される程度が高まった、との結果が出ている。特に調査職など、コンサルの仕事の中核を成すタスクに対しての影響度が高いともみられている。
AIエージェントブームは、これまでのDXブームと並び多くのITベンダーなどと同様、コンサル業界も乗らなければならない大波となっている。だが、同時に、この大波はコンサル業界自身にも降りかかり、業界のこれまでの在り方そのものを再定義しなければならないものとなりそうである。
コンサルはAIで稼ぐのか、それとも淘汰されるのか。影響は多岐にわたるが、確実にいえるのは「企業からコンサルへの報酬体系」と「コンサル内のある層の雇用&待遇」の2点は激しく変わるということだ。具体的には、どういうことか。これらを含めて、大手各社の対応と戦略を次ページからじっくり見ていこう。







