「提案する側」への転身で視野を拡大

 転職活動を開始したAさんが内定を獲得したのは、大手産業用機械メーカーでした。当初は生産技術のポジションに応募しましたが、企業側から打診されたのは、生産技術の知識を生かして、顧客であるメーカーに技術コンサルティングを行うという、新たな挑戦となるポジションでした。

 具体的には、生産現場の課題をヒアリングし、自社の機械でどう解決できるかを提案したり、業務改善のサポートをしたりする仕事です。「提案される側」だった前職の仕事から「提案する側」の仕事に変わることで、日本国内だけでなく海外の生産現場まで、モノづくり全体をより広い視野で俯瞰できるようになります。

 まさにAさんが求めていた「多様な技術に触れる機会」に直結する仕事であり、結果として年収も500万円から550万円へと50万円アップ。自身のスキルと情熱が正当に評価され、目標に近づく一歩を踏み出すことができたのです。

目標設定を明確にすることで、選択肢がクリアになる

 Aさんの転職成功の鍵は、胸の内にある「やりたいこと」を明確な言葉にできたことにあります。特に技術職では、自身のスキルや理想を言語化することを苦手に感じている人が少なくありません。

 Aさんは、キャリアアドバイザーとの「対話」を通じて「工場のサブスク化」という目標を具体的に語れたことで、そのためにはどのような経験が必要か分かるだけではなく、根底にある「モノづくりをより楽しくしたい」という熱意が明確になりました。

 Aさんの熱意と目標達成に向けて努力する姿が相手側の企業に強く伝わった結果、内定へと至りました。目標を掲げ、それを見失わないように工夫したことが、納得のいくキャリアへと導いたといえるでしょう。