キャリアのモヤモヤを晴らす3つの視点 

大和さん顔写真大和 航希(やまと こうき)
リクルートエージェント キャリアアドバイザー
理系大学卒業後、機械エンジニアへ。その後、生命保険株式会社にて営業を経験し、リクルートへ入社。キャリアアドバイザーとして、主にエンジニア領域の求職者を支援。求職者の方にとって後悔のない選択をしていただくことにこだわりを持つ。

  AさんとBさんの転職ストーリーは、動機や転職の経緯は対照的でありながら、20代後半の技術者として最終的に自身の希望をかなえ、満足のいくキャリアをつかんでいます。彼らが成功したポイントを3つの視点から考えてみましょう。

 1. 「市場価値の測定」は、自己理解の第一歩

  Bさんが「市場価値を知るため」にエージェントに登録したように、転職活動は必ずしも「転職」をゴールにする必要はありません。自身の持つ技術や経験が、他の企業でどれだけの価値があるのかを知ることは、現職に残るにしても、新たな一歩を踏み出すにしても、キャリアを考える上で極めて重要です。市場の状況や、自分のスキルに対する客観的な評価を知ることで、漠然とした不安を具体的な行動計画に変えることができるからです。

 2. 「対話」を通じて心の中の目標を明確にする

  技術者の方は、自身の持つ技術や理想を言語化することにハードルを感じる方が多い印象があります。頭の中に「もっとこうしたい」という思いがあっても、それを面接官に伝わる「熱意」や「志望動機」に昇華させるのは簡単なことではありません。 

 キャリアアドバイザーや周囲の人との「対話」は、まさにその「言語化」をサポートするプロセスです。質問を投げかけられることで、自分でも気づけていなかった「声にならない声」が引き出され、それが明確な目標となり、次のステップに進むための揺るぎない原動力となります。

 3. 「余裕のあるうちの行動」が選択肢を広げる

  Bさんの「切羽詰まった状況で動くよりも、気持ちや状況に余裕があるうちに、将来の不安やキャリアについて相談してみるのもよい」という言葉は、多くの人に当てはまると思います。

 人が良いパフォーマンスを発揮できるのは、精神的・時間的な余裕があるときです。業績悪化や精神的なストレスで追い込まれてから動くより、先手を打って情報収集や準備を始めることで、より多くの求人の中から冷静に自分にとって最善の選択をすることができます。

 20代後半は、技術者としての専門性が高まり始め、同時にキャリアの方向性を定める重要な時期です。Aさんのように明確な理想を追い求めるにせよ、Bさんのように危機感を解消するにせよ、「一歩行動すること」こそが、技術者としての未来を切り開く鍵となるでしょう。