高市早苗首相Photo:Anadolu/gettyimages

高市氏、総裁選での家計支援の公約
維新や立憲民主党も導入に前向き

 高市早苗・自民党総裁が、自民党と日本維新の会の連立合意の下、10月21日、首相に指名され新政権が発足した。

 当面の政策課題は、先の参院選や自民党総裁選でも焦点となった物価高に対する家計支援策になりそうだ。

 これまで物価対策では、一律給付や消費税減税など人気取り的なバラマキ政策が実施されたり、唱えられたりしてきたが、現在のインフレの主因は円安による輸入物価の上昇や価格転嫁であることを考えると、一律給付などによる対応は、需要喚起となり逆効果になりかねない。

 長いデフレのノルムから脱却しようとしている今こそ、総合的で中長期的な政策議論が必要だ。

 高市氏は、自民党総裁選で、「給付付き税額控除」制度導入を主張していたが、首相指名後の21日夜の会見でも 年内を目途に制度設計を始める意向を語った。

 連立のパートナーとなる維新も、かねて給付付き税額控除の研究を進めてきているほか、野党第1党の立憲民主党は長年、この制度導入を選挙公約としており、自民総裁選前には、自民党や、今回連立を離れた公明党との間で協議体の設置が合意されている。

 実現に向けての政治的環境は整ったといえる。鍵となるのは、マイナンバー制度などを活用した所得や資産情報をいかに集約し、対象となる世帯への給付につなげていくかだが、こうした情報インフラも、基本的なものはすでに整いつつある。

 もはや実現は政治が本気でやるかどうかだ。