企業の英語力を求める動きがさらに進む
ほんの何年か前まで、英語力の高い人材を求める企業は、大手メーカーや商社、外資系が中心だった。ところが、楽天、ユニクロが「社内英語公用語化」を導入したように、いまやIT関連、流通、小売りなど、業種や規模に関わらず、その動きはどんどん広まっている。
人口減少に伴う国内マーケットの縮小などを見据え、さまざまな企業がグローバルビジネスの展開に力を注ぐようになったからだ。今後、企業の英語力を求める動きがますます加速していくのは間違いないだろう。
さらに、政府も成長戦略の1つの施策として、グローバルに活躍できる人材を育成するため、「大学改革」を進める方針を打ち出した。具体的には、外国人教員の積極採用や優秀な留学生の獲得、海外大学との連携、英語による授業のみで卒業できる学位過程の充実、TOEFLの卒業要件化など。グローバル化を推進する大学を質・量ともに充実させるとしている。
ついに、子どもから学生、社会人まで、本気で英語をマスターしなければならない時代がやってきたようだ。
そんななか、学生や会社員の間で注目され始めたのが、フィリピン・セブ島の英語留学だ。語学留学といえば欧米が一般的だから、フィリピンと聞くと「発音はどうなの?」「治安は大丈夫?」「不便じゃない?」といった懸念もあるだろう。
韓国がいち早く目をつけた「セブ島」
じつは、フィリピンは米国、英国に続いて世界で3番目に英語を話す人口が多い国だ。国語はタガログ語だが、20年以上前から国語以外の授業は、小学校から大学まですべて英語。今では公共放送も英語がおよそ8割にも及ぶという環境だから、英語の発音はいい。こうしたことに加え、英語力に優れた現地スタッフを安い人件費で採用できるため、多くの米国企業がコールセンターをフィリピンに展開している。
セブ島は、フィリピンの首都・マニラに次ぐ第二の都市で、エメラルドグリーンの海と真っ白なビーチ、豊かな自然が魅力の観光都市だ。政府は、観光政策の1つとして「セブ・リゾート」をアピールするとともに、セブ島に「ITパーク」という経済特別区を設置し、安全対策を徹底している。