写真:マンションの修繕工事Photo:PIXTA

全国でこれまでに建設されたマンションのうち、築30年を超える物件が3割を超えた。老朽マンションは建て替えや解体などの「終活」が必要で、放置すれば周辺環境への悪化など社会問題につながりかねない。その老朽マンションに、三井不動産系や三菱地所系といった大手マンションデベロッパーが「お助け役」として群がり始めているというのだ。その真意は。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

築30年超マンションは
東京、神奈川、大阪で143万戸

 東京カンテイがまとめた2022年のマンションストック戸数ランキングによると、全国の分譲マンションは約751万戸。うち築30年超のマンションは約280万戸で、全体に占める割合は3割を超えた。全国トップ3は東京都、神奈川県、大阪府で、築30年超のマンションは3都府県の合計で約143万戸にも上る。

 一般的なマンションの法定耐用年数は47年。寿命が近づくマンションは、建て替えや敷地を売却するなどの「終活」を進めなければならない。

 ただし、建て替えるにしても敷地を売却するにしても、その費用は区分所有者、つまりマンション住民で負担することになる。

 マンション建て替えの場合、建て替えの決議には、法律に基づき区分所有者および議決権の5分の4以上の賛成が必要だ。区分所有者1戸当たりの負担総額は1500万円以上ともいわれる。さらに建て替え工事中の仮住まい費用や引っ越しなど、莫大な金とエネルギーを要する。

 こうしたことから、その費用負担のあり方を巡って、区分所有者で合意形成を図るのは難しいのが現実だ。国土交通省のまとめによると、2022年4月1日までにマンションの建て替え工事が完了した物件は、全国でわずか270件にとどまる。マンションの終活を進めるハードルは、極めて高いのである。

 そんな難易度の高いマンションの終活。そこへ、大手マンションデベロッパーが「お助け役」とばかりに群がり始めたというのだ。

「大手デベが再開発だけでなく、とうとうマン建(マンション建て替え)にもリソースを投入し始めた」。マンション建て替えに詳しい不動産会社関係者は大手の動きにそう警戒感を示す。

 なぜ大手デベロッパーがマンション建て替えに群がっているのか。次ページでは、大手デベロッパーの真意を明らかにする。大手デベロッパーは、背に腹は代えられぬ、やむなき裏事情を抱えていたのだ。