自民党の新総裁に財政拡張路線の高市早苗氏が就任したことで、日本国債の格下げリスクを巡る議論が活発化している 自民党の新総裁に財政拡張路線の高市早苗氏が就任したことで、日本国債の格下げリスクを巡る議論が活発化している Photo:Bloomberg/gettyimages

財政拡張路線の高市早苗氏が自民党新総裁に就任したことで、日本国債の格下げリスクの議論が活発化している。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、国債の格付け。黒田氏が解説する国債の格付けの意味と、日本国債の“格下げリスク”の現実味は?

財政拡張路線の高市新総裁
国債の格付け引き下げはあり得るのか

 今また、日本国債の格付け(A+)が引き下げられるのではないかとのうわさが、市場に飛び交っている。

 消費税の減税を否定した石破茂首相が退陣を表明し、財政拡張路線を志向する高市早苗氏が10月4日の自民党総裁選挙で勝利した。

 高市氏は「責任ある積極財政」を総裁選の公約で掲げ、総裁就任会見では、賃上げ促進税制を活用できない赤字企業の支援や、ガソリン税の暫定税率廃止、給付付き税額控除の制度設計の着手などに言及している。

 また、参議院選挙前に主張していた消費税減税については、「選択肢として放棄しない」と述べて若干トーンダウンしたものの、少数与党の自民党に対して大半の野党が消費税減税を主張しており、年末の税制改正で消費税が減税されるのではないかとの思惑が広がっている。

 こうした一連の施策は日本の財政状況をさらに悪化させることから、国債の格付けが引き下げられるのではないかというわけである。

 国債の格付けは、国債に投資する者に対して、投資のリスク、具体的には国債がデフォルト(債務不履行)して元利払いがなされないリスクの度合いを示すものだ。

 つまりデフォルト確率の目安であり、その確率の低いものから順に、AAA(債務履行の確実性が最も高い)、AA、A、BBB、BB、B、CCC、CC、C(債務不履行に陥る危険性が極めて高い)、D(債務不履行に陥っている)などとなっている。

 それでは、どのようにデフォルト確率を推計するのか。