“プロ人材”の力を借りたいというニーズの高まり

 コーナーの支援先は、スタートアップ企業、中小企業に限らない。むしろ、問い合わせを含め、上場企業や大企業が多いという。つまり、人事部門に相応数の人員を配置している企業でも、外部人員(プロ人材)のサポートを必要としているのだ。

門馬 多くの日本の企業では、人事部門の担当者は(社内人材の)ジョブローテーションによるオールラウンドプレイヤーであり、これまでは、そのスタイルで問題がありませんでした。

 しかし、近年は、ジョブ型など新しい人事制度の構築やCXOクラスの高度人材の採用、DE&I推進、人的資本経営関連の情報開示、タレントマネジメント……など、より専門性を必要とする課題が増えています。社内の人材だけでは対応しきれず、社外のプロ人材の力を借りたいというニーズが高まっているのです。

 また、日本の企業は新卒一括採用とメンバーシップ型雇用を基本としていて、人事担当者は、自社独自の人材育成方法により縛られている傾向があります。人事が経営に直結する時代のなかで、人事部門は最新の情報や幅広い知見を持つ必要があり、そうした理由から、プロ人材の力を借りたいという相談が増えています。

 例えば、某上場企業には、組織開発、人材開発、新卒採用、中途採用などの各チームに、当社経由で延べ十数名のプロ人材が加わり、人事部門の業務サポートとナレッジの共有を行(おこな)っています。

 日本では、2023年3月期から、有価証券報告書でのESG関連情報の開示が義務化されている。そこで、コーナーでは、人事領域から広げ、ESGプロフェッショナル事業も立ち上げた。

門馬 人事領域の支援を行(おこな)う中で、人的資本の情報開示やDE&I推進を含めたS(社会)領域の課題感をお持ちの企業からの相談が増えています。たとえば、支援先の人事部門の責任者から経営企画部門やIR部門の責任者と密に関わるなかで「ESGマテリアリティの見直しを手伝ってほしい」といった要望をいただくなどです。

 これまで、こうした案件は、大手コンサルファームが相談を受ける傾向でしたが、その場合、プロジェクトの規模や金額も大きくなってしまうので、「実務経験のある人材の力を借りたい」という企業が増えています。