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全国の地方銀行の中でも屈指の収益力を誇るふくおかフィナンシャルグループ。2026年3月期の中間決算は計画を大きく上回り、預金や貸し出しの基盤強化も順調に進んでいる。将来目標であるROE10%の実現に向け、投資銀行部門の拡充やみんなの銀行の横展開など、取り組むべきテーマは広い。特集『総予測2026』の本稿では、26年以降の地域経済環境をどのように見据え、どこに成長の軸足を置こうとしているのかについて、五島久社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
計画を大きく上回る好業績
量と質で金利上昇を味方に
――ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の2026年3月期の中間決算は、連結コア業務純益が666億円、連結中間純利益は436億円。ともに計画比で30億円以上上回りました。
一口に言えば、順調です。
確かに金利上昇の追い風を受けた面もありますが、高金利で預金を集めたり、逆に低金利で貸出残高を積み上げたりするような、無理な手法は取っていません。
好業績の背景には、預金と貸し出しの両面で残高を着実に積み上げ、市場運用も含めて金利上昇のメリットを自然体で取り込める基盤を整えてきたことがあります。
――その基盤をどのようにつくってきましたか。
まず、預金はわれわれのビジネスにとって重要な原資です。特に、お客さまが日常的に出し入れする“普段使い”の預金、いわば粘着性の高い預金をどれだけ増やせるかが基盤づくりの要になります。
預金の粘着性が高まれば、政策金利に対する預金金利の追随率(預金金利を転嫁する割合)を一定程度抑えることができます。実際、政策金利が0.5%まで上昇した局面でも、追随率は目安としている40%程度に収まっています。
一方で貸し出しは金利上昇分をしっかり反映できています。25年3月期上期と26年3月期上期を比べると、預金等利回りは0.15%、貸出金利回りは0.24%上昇しました。その差分である0.08%が金利要因として収益改善に寄与しています。
残高面でも、個人の流動性預金を中心に預金が伸びています。地域の中小・中堅企業向けや個人向けローンの貸出残高も順調に拡大しており、質だけでなく量の面でも着実に基盤を積み上げてきています。
――日本銀行の植田和男総裁は、次の利上げ判断では春闘のモメンタム(勢い)を見たいと述べています。26年以降の金利動向をどのように見通していますか。
ふくおかFGは26年以降の金利上昇や人口減少時代にどう備えるのか。有価証券運用の方針や総合採算RORAを重視した融資戦略、FG体制の強みを生かしたROE10%への道筋について、次ページで五島社長に詳しく聞いた。







