総予測2026Photo by Manami Yamada

2025年1月に4%に達した物価上昇率は、年後半に3%前後とやや鈍化した。26年の物価はどこに向かうのか。特集『総予測2026』の本稿では、財政金融政策から賃上げ、為替要因まで物価研究の権威である渡辺努東京大学名誉教授に見通しを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

物価上昇「第2波」は鈍化局面に
それでも上昇率は日銀予想を上回る

――2025年までの物価の動向をどう振り返りますか。

 物価は22年春ごろから上昇し始め、23年夏ごろに第1波のピークを迎えました。この段階はエネルギーや輸入物価の上昇が中心で、典型的な輸入インフレといえます。

 その後いったん落ち着いた後、24年夏ごろから第2波が立ち上がり、25年夏に再びピークを付けました。こちらは為替や輸入価格というより、賃上げや国内コストの上昇分を企業が徐々に価格に転嫁してきた結果だと考えています。

 現在は、この第2波が緩やかに勢いを弱めつつある局面です。

――26年の利上げの見通しと、物価への影響は。

 25年12月か26年1月の利上げを見込む声は多く、私もその可能性が高いと考えています。26年度までに計2回の利上げがあっても不思議ではありません。

 これまでの利上げでも、物価や実体経済に目立った下押し効果は確認されていません。政策金利が1%前後に達するまでの緩やかな利上げであれば、需要を大きく冷やす展開は想定しにくいでしょう。

 むしろ効きやすいのは為替です。日銀は円安を意識しつつ、利上げのタイミングを判断していくことになるはずです。

――では、26年以降の物価をどう見通していますか。

次ページでは、渡辺氏が26年の物価上昇率の見通しを明かす。26年度前半にかけて物価が2%を下回るとする日銀の見通しについて、渡辺氏は「そこまで低下しない公算が大きい」と語る。その根拠を聞いた。