チーム全体の「プロアクティブ行動」が大切な理由

 チームメンバーの「プロアクティブ行動」のためには、まず、管理職のマインドセットが重要で、管理職と部下(チームメンバー)がどのような関係を築いていくかが鍵を握る。

下野 企業にはさまざまな組織・チームがありますが、個々のチームが活性化していくことが第一です。そのため、私たちがパートナー企業にお伝えしているのは、「チーム単位(チーム全体)でプロアクティブを目指してほしい」ということです。

 まず、現在のチームの状態を可視化すること。チームのどこに課題があるのか――その課題解決の方法はさまざまで、部長や本部長クラスの介入や職場環境の改善といった直接的な施策のほか、人事施策を組み合わせることもあります。

 ポイントは、チームメンバーの一人ひとりが「プロアクティブ行動」の4つの行動特性をすべて高い状態で維持する必要はないということ。また、「プロアクティブ行動」が目立つ社員でも、ある期間での体調変化や家庭状況など、突発的な外部要因によってプロアクティブになれない時期もあります。

 ですから、チームメンバーが、お互いに足りない部分を役割分担して補佐し合うこと――チーム全体としてプロアクティブな状態を実現できればよいのです。社内でプロアクティブなチームが増え、チームどうしが協力し合い、自社のパーパスやビジョンに向かって歩調を合わせていく姿勢が理想です。

 チームリーダーである現場管理職(課長など)はどのようにチームの「プロアクティブ行動」を促進できるのか?

下野 管理職やリーダーがどのようにチームメンバーの「プロアクティブ行動」を促進できるのかは、これからの研究領域のひとつです。前提として、「マネジメント」と「リーダーシップ」は、分けて考えたほうがよいでしょう。

 日本の企業の管理職は、マネジメントについてはそれなりにこなせるものの、戦略立案や未来志向で部下を引っ張るといったリーダーシップに欠ける傾向があります。

 実は、「プロアクティブ行動」を喚起するための行動とマネジメントは、基本的に、あまり相性がよくありません。管理職がチームメンバーの「プロアクティブ行動」を向上させるためには、マネジメントに関する行動よりもリーダーシップに関する行動を増やす必要があります。たとえば、メンバーの自己効力感を高めるため、「あなたはどんなことをやりたい?」と声掛けし、メンバーが自分でそれを発見できるような環境を整えたり、管理職自らが新しい行動にチャレンジして「一緒にやろう!」と誘ったりする――こうした姿勢がチームや部下の「プロアクティブ行動」の促進につながっていきます。