「きつい・汚い・危険」3Kは
「給与・休暇・希望」へ

 最後に、建設業界の職場環境に関する評価から、その強みや特徴を見ていく。下図は、25年時点における全業界平均と建設業界の平均スコアを比較したグラフである。

全業界と建設業界の平均スコア比較(2025)出所:オープンワーク
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 建設業界の平均スコアは、全業界平均と比べて「総合評価」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「法令順守意識」「人事評価の適正感」で低い傾向が見られた。背景には、安全確保を最優先とする現場運営におけるトップダウン型の組織文化や、大規模プロジェクトが多く個人の成果が見えにくいこと、さらに現場経験の長さを重視する年功序列的な評価制度など、建設業界特有の構造が影響していると考えられる。

 一方で、「待遇面の満足度」「社員の士気」「20代の成長環境」「人材の長期育成」については、いずれも全業界平均を上回るスコアを獲得しており、建設業界の強みが表れている。人手不足への対応として、多くの企業が積極的にベースアップを実施していることに加え、自身が関わった仕事が形として残り、社会インフラを支えているという実感を得やすい点が、待遇への満足度や社員の士気を高めていると推察される。

 また、若手のうちから数億円規模の現場に携わり、多様な関係者をまとめる経験を積めることに加え、資格取得支援や研修制度など、人材育成への投資に積極的な企業が多いことも特徴だ。こうした環境が、20代の成長機会や人材の長期育成に対する高い評価につながっていると考えられる。

 特筆すべき点として、全業界平均を下回っている項目を含め、多くの評価項目が23年から25年にかけて上昇傾向にあることが挙げられる。「2024年問題」を契機に各社が進めてきた取り組みは、単なる労働時間の削減にとどまらず、社員の士気向上や長期的なキャリア形成への期待感など、幅広い側面に好影響を及ぼしていると考えられる(下図参照)。

建設業界におけるスコア推移出所:オープンワーク
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 建設業界では、24年時点で55歳以上の人材が全体の約37%を占める一方、29歳以下の若手は約12%にとどまっており、深刻な高齢化と人手不足に直面している。現場を長年支えてきた高卒人材を含む若手の採用難や高い離職率、それに伴う倒産件数の増加など、克服すべき課題は依然として多い。

 それでも今回の調査から浮かび上がったのは、「建設業界は今、最もダイナミックに変化している業界の一つである」という前向きな側面である。一つひとつの建物や工事を完成させたときの大きな達成感や、地図に残る仕事として社会インフラを支える高い社会貢献性は、この業界ならではの魅力だ。

 かつて「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれてきた建設業界のイメージは、技術導入の進展や働き方改革の浸透によって、「新3K(給与・休暇・希望)」へと着実に変わりつつあるのではないだろうか。