クローズアップ商社Photo by Norihiro Okawa

伊藤忠商事は2026年2月、中古品販売大手のブックオフグループホールディングスと資本業務提携を結んだ。提携の第1弾は、ファミリーマートの店舗に衣類や雑貨の回収ボックスを設置する取り組みだ。回収品はブックオフが海外で展開するリユースショップで販売する。ブックオフにとってはファミマの店舗網を活用することで、中古品の調達ルート拡大に寄与しそうだが、伊藤忠・ファミマ陣営にとってはどのようなメリットがあるのだろうか。連載『クローズアップ商社』の本稿では、拡大を続けるリユース市場に新たな一手を打ち出した伊藤忠の狙いに迫る。(ダイヤモンド編集部 大川哲拓)

回収した衣類や雑貨を海外店舗で販売
ファミマは集客効果や「ついで買い」を期待

「生活者に最も近い場所であるファミリーマートさんで導入されたことについては、とてもうれしく感じている」

 都内のファミマ店舗で4月13日に開かれた記者説明会で、ブックオフグループホールディングス(GHD)の井上徹執行役員は、こう期待を込めた。

 今回の実証実験では、東京都世田谷区や杉並区などのファミマ約30店舗にブックオフの中古品回収ボックス「R-LOOP(アールループ)」を設置。回収した衣類や雑貨は、同社がマレーシアやカザフスタンで展開するリユースショップ「Jalan Jalan Japan(ジャラン・ジャラン・ジャパン)」で販売し、基準に満たないものはリサイクルに回す仕組みだ。消費者のニーズや店舗の運用負荷などを検証した上で、全国展開を目指すという。

 このタッグの背景には、ファミマの親会社である伊藤忠商事が2月にブックオフGHDと結んだ資本業務提携がある。伊藤忠が既存株主の小学館や集英社、講談社から、ブックオフGHDの株式87万9000株(議決権ベース5.01%)を取得。投資額は十数億円規模とみられる。

 ブックオフにとっては、全国に張り巡らされたファミマの店舗に回収ボックスを置くことで、リユース品の調達ルートを広げられるメリットがありそうだ。

 一方のファミマには客数増加への期待がある。同社の大澤寛之・サステナビリティ推進部長は「新しいサービスを店内に設置することで来店客が増え、『ついで買い』の効果もある。コンビニのプラスアルファの需要を喚起できるのがメリットだ」と語る。

 だが、コンビニのついで買い効果だけで、伊藤忠が十数億円もの投資に踏み切るとは考えにくい。中古本市場が右肩下がりを続ける中、なぜ彼らはあえてブックオフをパートナーに選んだのか。次ページでは、ブックオフの海外戦略の全貌とともに、伊藤忠が狙う「真の果実」の正体に迫る。