ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワードPhoto:JIJI

円相場が再び1ドル=160円台をうかがい、介入への警戒感が強まっています。連載『ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワード』の今回のキーワードは介入。そもそも介入とは誰が決め、どのような資金で実施されるのでしょうか。日本の制度の基本を整理した上で、巨額の剰余金を生んだ外為特会の実態と、プラザ合意以降の主な介入局面を振り返ります。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

介入の決定権は財務省
実務を日銀が担当

 今回のキーワードは「介入」です。

 介入という言葉を辞典で引くと、「事件や問題、あるいは他者の行動の間に第三者が入り込み、干渉や影響を与えること」といった説明が出てきます。

 もちろん、今回取り上げるのは、この一般的な意味での介入ではなく、外国為替市場における「介入」です。具体的には、為替相場が急激に変動した際に、通貨当局がその動きを緩和するために通貨の売買を行うことを指します。記事やニュースでは「為替介入」とも呼ばれますが、正式には「外国為替平衡操作」といいます。

 円売りドル買い介入、円買いドル売り介入という言葉を聞いたことがあると思います。前者は円高の進行を抑えるために円を売ってドルを買うもの、後者は円安の進行を抑えるために円を買ってドルを売るものです。実際の介入は、多くの場合、自国通貨と基軸通貨であるドルとの売買という形で行われます。

 日本の場合、介入を実施するかどうかの権限は財務大臣にあります。実務上の責任者は財務官で、現在は三村淳財務官がその任にあります。ニュースでは「政府・日銀が介入した」と表現されますが、正確には財務大臣の決定に基づき、日本銀行が代理人として銀行に売買注文を出します。

 介入のための資金を管理する特別会計が、外国為替資金特別会計、いわゆる外為特会です。

 円高を抑制するための円売りドル買い介入の流れは、次のようになります。

 まず財務省が市場で政府短期証券を発行して円資金を調達します。調達した円を元に、日銀が市場で円を売ってドルを買います。これが介入です。買ったドルは外為特会の資産となり、外貨準備として主に米国債などで運用されます。円は国内で調達できるため、理屈の上では円売りドル買い介入は大規模に実施しやすい仕組みになっています。

 反対に、円安を抑制するための円買いドル売り介入では、外貨準備として保有している米国債などを売却するなどしてドル資金を確保し、そのドルを使って市場でドルを売り、円を買います。買った円は外為特会に入り、政府短期証券の償還などに充てられます。つまり、ドル売り介入は手持ちの外貨準備の範囲内で行う必要があり、円売り介入に比べると制約が大きいのです。

 次ページでは、1980年代以降この45年間で、いかに日本が為替に振り回されてきたのか、を振り返ります。そして、歴史に残るような「介入」を取り上げ、効果はいかほどだったのかを、数字と共に解き明かしていきます。果たして、現在の財務省は歴史に学び、有効な介入をすることができるのでしょうか。