中東“停戦”の裏でくすぶる「プライベート・クレジット」問題Photo:Spencer Platt/gettyimages

中東情勢の裏で燻る
プライベート・クレジットの異変

 紛争拡大の瀬戸際にあった米国とイランが一時休戦に合意した。先行き不透明感は依然として強いものの、とりあえず当面の危機は先送りされた。ここでは中東情勢の裏で燻っているもう一つの問題に目を向けてみよう。プライベート・クレジット問題である。

 プライベート・クレジットは、ノンバンクによる融資のことを指し、その多くは投資家の資金を集めて融資を行うファンド形式のものとなっている。市場規模については様々な試算があるが、ざっくり2兆ドル(300兆円強)といったところであろう。金融業界では近年急速に拡大している成長分野である。

 異変が生じたのは2025年中頃からである。プライベート・クレジットファンドから多額の融資を受けていた企業の破綻が報じられたのだ。このとき、世界最大手銀行であるJPモルガンのダイモンCEOは「ゴキブリが一匹みつかれば、たいていもっといるものだ」と評した。その後、その見方通り、大口借り手企業の破綻が相次ぐこととなった。

 もっとも、融資ファンドは多くの借り手企業に融資しており、一部の借り手企業が破綻したとしても毀損率がそれほど高くならないのが一般的だ。したがって、株式などに比べて低リスクの投資対象と位置付けられている。

 一方で、融資は株式や債券などに比べると換金性が低いため、プライベート・クレジットファンドは投資家の途中解約に一定の限度を設けている。だが、企業の破綻報道により不安に駆られた投資家の解約請求が増えたため、この限度を超過するケースが頻発し、それが一層投資家の不安を掻き立てる事態になってきた。