外貨獲得で半導体・鉄鋼レベルに! 50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム#22写真提供:Roblox,Epic Games,Unity Technologies

Unity、 Unreal Engine、 Roblox、そして Steam――。現在のゲーム業界の開発、そして販売やマネタイズはこれらの四つのプラットフォーマーが握っているといっても過言ではない。大手ゲームメーカーではない、個人の素人でもゲームを作り、それでビジネスができる環境を提供しているのがこの四つのプラットフォーマーだ。その規模はもはや業界標準といってもよいほどに成長している。特集『50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム』(全25回)の#22では、現在の、そして将来のゲーム業界の趨勢を握るこの4プラットフォーマーを徹底解説する。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

素人が無料で1週間でゲームを作れる世界!
ゲーム開発・販売の民主化革命は何をもたらしたか

「Unityを使って1週間でゲームを作ってください」。ゲーム開発プラットフォーム大手、米ユニティのユーザーコミュニティでは毎年定期的にこんなお祭りが開催されている。「Unity1週間ゲームジャム」というイベントだ。

 毎回300を超えるゲームが投稿されるが、投稿しているのは学生やゲーマーなど、プロのゲームクリエイターではない個人ばかり。しかも、特別なハイスペックマシンではない通常のPCを使って、早ければ数時間でしかも無料でゲームが作れてしまう。

 ゲーム開発といえば、巨額の資金と数百人に及ぶ大規模なチーム、そして大規模な開発環境が必要――。現在でも大手ゲーム会社が置かれているこのような条件は、ここ最近大きく変わりつつある。Unityや、本特集#16で取り上げた米エピックゲームズのUnreal Engine(UE)といった、汎用のゲームエンジン(ゲーム開発プラットフォーム)が広く普及したからだ。

 さらに、開発したゲームをプレイヤーに届ける販売・流通面でも革命が起きている。ゲームをパッケージではなく、デジタルで購入してダウンロードして遊ぶ習慣が普及したこともあり、それまでは販売チャネル構築やパッケージソフトの生産などを行う資本を持つ会社にのみ許されていたゲームの販売が、個人でも可能になったのだ。

 それを後押ししたのが、開発したゲームをアップロードして販売するための販売プラットフォームだ。米Valveが提供するSteam、それにエピックの提供するEpic Games Storeなどがそれだ。本特集#18で取り上げたように、個人でこうしたサイト経由でゲームを公開して、大手ゲーム会社のタイトルを上回る売り上げを記録するインディゲームクリエイターも出てきた。

 ゲーム開発と販売の民主化は、「ゲーマー」と「開発者」の垣根まで壊しつつある。大手プラットフォームRobloxのように、子どもが友人と遊ぶために作ったゲームが、世界中で遊ばれ収益を生み出す、ということも起きているのだ。

 ゲーム業界のゲームシステムの大革命は、かつては限られた一部の大手メーカーの独壇場だったゲーム開発と販売の領域で「民主化革命」を起こした。この革命の後、ゲーム業界は、そしてそこに参加するプレイヤーはどう変わっていくのだろうか。一見良いことずくめの革命がもたらすものの中には、光のみならず闇もある。各陣営の動きや将来展望も含め、次ページから詳細に見ていこう。