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三菱商事の高収益をけん引してきた原料炭(製鉄用石炭)ビジネスの先行きが怪しくなっている。2026年3月期は大幅な減益となり、純利益ランキングで同社を「業界3位」へ転落させる最大の要因となりそうなのだ。近年は年間数千億円規模の利益を生み出してきた“最強の稼ぎ頭”に、いったい何が起きているのか。長期連載『クローズアップ商社』内の特集『三菱商事「最強伝説」の終焉』の#7では、単なる市況の悪化では片付けられない「構造的死角」に迫る。(ダイヤモンド編集部 大川哲拓)
「純利益1兆円超え」の立役者が振るわず
市況悪化だけではない不調の真因とは
「原料炭は、かつてのように濡れ手で粟をつかむビジネスには戻れないかもしれない」――。業界関係者は三菱商事の屋台骨を支えてきた事業の変容をそのように指摘する。
三菱商事の豪州における石炭開発の歴史は古く、1968年にまでさかのぼる。当時の金属資源事業の主な収入源は輸入代行の手数料だったが、飛躍のきっかけとなったのは2001年の一大決断だ。純利益がまだ数百億円程度だった時代に、豪州資源大手BHPから権益を1000億円という巨額投資で買い取り、折半出資の合弁会社BMA(BHP三菱アライアンス)を設立したのである。
この積極投資は後に莫大なリターンをもたらす。とりわけウクライナ危機で原料炭価格が暴騰した22年度には、原料炭事業が全社純利益の約3割に当たる3732億円を稼ぎ出し、「初の純利益1兆円超え」の立役者となった(下図参照)。
ところが、25年度の様相は一変している。中国の鉄鋼需要の低迷で原料炭価格の下落傾向が続き、25年4~12月期の純利益はわずか67億円にとどまっている。つまり25年度の通期純利益ランキングで三菱商事を「業界3位」へと引きずり下ろす最大の要因となりそうなのだ。
さらに、業績不振の背景には市況悪化だけでは収まらない深刻な課題が潜む。次ページでは、稼ぎ頭の原料炭事業の不調の要因を詳報し、一過性では済まされない構造的問題を明らかにする。








