note解剖#6Photo:Atlantide Phototravel/gettyimages

プラットフォーム運営を主軸としてきたnoteが、2024年5月に設立した完全子会社Tales & Co.(テイルズ・アンド・コー)を通じて「編集者機能」を持ち、クリエイターの発掘からメディア展開までを担うIP(知的財産権)事業へと踏み出した。それは出版社など既存メディアの競合となり得ることを意味する。コンテンツ強者がひしめく中で、後発となるビジネスでいかに勝ち筋を見いだすのか。長期連載『メディア興亡』内の特集『note解剖』#6で検証する。(フリーライター 松田晋吾)

赤字拡大、評価損3200万円の衝撃
不確実な「ヒットの再現性」に挑む

 各社がしのぎを削るIP(知的財産権)事業に乗り出したnoteだが、経営は厳しい局面が続いている。「IP・コンテンツクリエーション事業」は2024年11月期連結決算で1030万円の損失を計上。さらに25年11月期には損失が1394万円に拡大しており、収益化への道筋はいまだ見えにくい。子会社テイルズ・アンド・コーの株式については、先行投資などを背景に実態純資産が低下し、noteは25年11月期単体決算で3200万円の評価損を計上した。

 IP事業はヒット作が出れば、高い収益性が期待される一方で、その実態は極めて不確実性の高いビジネスだ。最大の難しさは、ヒットの再現性がほとんどない点にある。多くの作品が市場に投入される中で、実際に収益化に成功するのはごく一部に限られ、不発作品が大量に生まれる構造となっている。

 加えて企画段階から制作、プロモーションに至るまで、編集者の人件費など先行投資がかさむにもかかわらず、回収の見通しは立てにくい。さらにIPは育成にも時間がかかり、クリエイターとの関係構築やブランドの確立など、長期的な視点が不可欠だ。テイルズ・アンド・コーは、ヒット作を発掘し高いリターンを狙うために先行投資がかさんでいる状況下にある。

 ヒット作一つで巨額の富を生む一方、その陰には膨大な不発が積み上がるIPビジネス。後発のテイルズ・アンド・コーは、設立わずか1年余りで3200万円もの評価損を計上するなど、コンテンツビジネス特有の生みの苦しみに直面している。「逆転のシナリオ」はあるのか。次ページで検証する。