「未経験は無理」は思い込みだった
不安を自信に変えた伴走者の存在

 いざ転職活動を始めたAさんでしたが、最初にぶつかったのは「未経験」の壁でした。彼女が希望していた総務の求人は、そのほとんどが「経験者募集」の文字で埋め尽くされていたのです。

「子どもがいる上に未経験なんて、希望した職種だけどやはり自分には無理かもしれない」

 諦めムードが漂う中、彼女を支えたのはキャリアアドバイザーの「たとえ未経験でも、応募していいのです!」という後押しでした。

 自分では「欠点」でしかないと思い込んでいたこれまでの来歴も、キャリアアドバイザーの目で見ればまったく違うものとして映ります。

 書類選考では、小さな子どもがいることをレジュメにどう記載すべきか、これまでの経験を新しい職種でどう生かしていけるのか。一つ一つを丁寧に整理していく過程を通して、Aさんは不安を「やってみよう」という前向きなエネルギーに変えることができました。

 また、面接対策のために、夫と休みが重なる土日の日中を戦略的に活用。自分の時間を確保して、自身のスキルを言語化するだけでなく、資料の読み込みやキャリアアドバイザーへの電話相談を重ねるなど、集中して面接の準備を進めました。

 結果、未経験というハンディをはねのけ、見事内定を勝ち取ることができたのです。

背伸びをせず
「できないことの乗り越え方」を提示

 Aさんが、転職前の営業事務という仕事から、未経験の総務の仕事で内定を得られた最大の要因は、等身大の自分をさらけ出した上で、その先にある「成長の道筋」を企業に示せたことにあります。未経験の職種に挑む際、多くの人は自分を大きく見せようとしてしまいがちです。

 しかしAさんは、面接において「今の自分にできないこと」を素直に認めた上で、過去の経験を引用しながら「どうすればできるようになるか」という克服のプロセスを具体的に伝えました。この誠実な姿勢が、企業側に「この人なら未知の課題も乗り越えて活躍してくれそうだ」という強い期待感を抱かせたのです。

キャリアのモヤモヤを晴らす
三つの視点

 今回のAさんの事例から、私たちは何を学べるでしょうか。今の環境を変えたいと思いながら、なかなか初めの一歩が踏み出せないという読者の皆さんに、三つの視点を整理しました。

1. 「できないこと」を、学ぶ覚悟に変換する

 未経験の仕事に挑戦するとき、経験がないことに落ち込む必要はありません。大切なのは、今の自分が持つ武器(できること)に自信を持つ一方で、足りない部分を「どう補うか」という学習のプロセスを描くことです。

「どうすればできるようになるか」を前向きに語れる人は、企業にとって非常に魅力的な人材に映ります。