経営の中枢 CFOに聞く!Photo by Yuji Nomura

わずか5年で売上高を2倍超に伸ばし、半導体分野で初の売上高1兆円を突破した半導体商社マクニカホールディングス。主力の半導体に加え、近年はサイバーセキュリティーやCPS(サイバーフィジカル・システム)ソリューションといった「旬な分野」へ事業を拡大しており、大河原誠CFO(最高財務責任者)は「今後も2桁成長が見込める」と自信をのぞかせる。一方で、中期経営計画で掲げるROE(自己資本利益率)15%以上の達成に向け、さらなる高収益化とビジネスモデルの転換という「宿題」も残す。長期連載『経営の中枢 CFOに聞く!』の本稿では、急成長をけん引するM&Aのターゲット地域や成長投資の判断基準、そしてAI時代に求められる財務パーソンの真価について、同氏に戦略の詳細を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 猪股修平)

ROE15%以上達成にはM&Aが不可欠
3カ年合計800億円規模の投資の割り振りは

――2025年度決算は半導体分野で初の売上高1兆円を達成し、全体の売上高も前年比で2割近く成長する内容でした。現状の財務戦略の柱とKPI(重要業績評価指標)についてのお考えは。

 大事なのは利益率だと考えています。

 中期経営計画(25~27年度)では、27年度の目標にROE(自己資本利益率)15.0%以上を掲げています。26年3月期の実績としては10%程度なので、ここは高めていかなければなりません。

 また、30年に向けて連結営業利益率を7.5%以上に引き上げることが財務戦略の肝となります。25年度実績は連結ベースで3.5%、27年度の目標は5.7%です。ビジネスモデルの転換によってこの数値を達成していくことが、中長期で一番大事な指標だと思っています。

 実現するためには、組織的なビジネス拡大に加え、M&Aも使いながら足りない能力を獲得しなければなりません。この中計期間中は3カ年合計で500億~800億円という成長投資を掲げています。これを実行することでビジネスモデルを転換して利益率を高め、目標を達成していく。

――M&Aで注目している分野、力を入れたい地域はありますか。

大河原CFOは中計目標達成のためにM&Aや成長投資によるビジネスモデルの転換が肝要だという。では具体的なメニューとして何を思い描いているのか。次ページではパートナー企業を探す余地の大きい半導体事業における注目の地域や、成長著しいサイバーセキュリティー事業の方向性、中計目標を上回りつつある株主還元施策の展望、さらには、総合商社と専門商社の財務の違い、AIが普及していく中で財務に関わる人間が持つべき唯一の素養、スキルについても明かしてもらった。