photo by Shuhei Inomata
日本最大の通信社である共同通信社が、2026年度予算について創立以来初となる赤字予算をまとめたことが分かった。これまでは決算で連結赤字に陥ることはあったものの、予算策定段階で赤字予算を承認したことはなかった。共同が大株主である電通グループの配当金が25年度に続き26年度も無配見通しとなった影響が大きい。社内ではさらなる経費削減徹底の大号令がかかっている。連載『メディア興亡』の本稿では、ダイヤモンド編集部が独自に入手した共同の内部資料から、26年度の経費削減案の全貌を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
「経費削減にこれまで以上の努力を」
電通株無配「影響ない」の見通し一転
「経費削減にこれまで以上の努力を」――。
3月23日、共同通信社は全職員宛てにこんなタイトルの文書を送った。同日開催された全社部長会で、沢井俊光社長が呼び掛けた経費削減について伝える内容だ。ダイヤモンド編集部はその内部資料を独自入手した。
その内容を読み解く前にまず、共同を取り巻く財政難について整理しておこう。
共同の経営の柱は、新聞社やテレビ局などから受け取る「加盟費」と「契約費」だ。加盟社と契約社計約170社が、ニュース配信を受ける対価として支払う。
2019年度は合わせて約239億円の収入になっていたが、24年度には約20億円減収し計219億円ほどになっている。加盟社の新聞発行部数減少に伴う加盟費の低下が主因だった。
新聞発行部数に歯止めがかからない現状を鑑みて、共同としては加盟費以外の収入源を確保するのが急務だった。しかし具体的なアイデアは現在もまとまっていない(詳細は連載『メディア興亡』の#2「共同通信、極秘の「加盟費収入」がわずか6年で16億円も減少していた!収支報告書で財政危機判明…若手のデジタル提言も空転」参照)。
そんな共同にとって加盟費に次ぐ収入の柱が、電通グループ株の配当金だった。
共同が保有する電通株は25年末時点で1898万8800株と全体の7%余りを占め、第2位の大株主だ。そして電通株の24年度の1株当たりの配当金は139.5円だったため、単純計算で約26億4000万円の配当金収入が経営を支えていた。
25年に入り電通株の無配が決まると、まず顔色を変えたのはライバルの時事通信社だった。時事は共同に次いで電通グループ株6%余りを保有する大株主だ。
25年8月、時事は幹部職員向けに役員報酬カットを伝達。経営を左右する“命綱”が途絶えたような事態に、社員の異動凍結などなりふり構わぬ経費削減に乗り出した(詳細は『【内部資料入手】時事通信が役員報酬と幹部給与をカットし社員の異動凍結も…電通の赤字が波及、「もうこの会社にはいられない」社員が嘆く深刻事情』参照)。
時事の窮状について、共同のある中堅職員は当初、「うちは時事ほど電通株に依存していないからそこまで影響はないだろう」と対岸の火事として捉えていた。
ところが、電通グループ株無配の影響は共同にとっても無視できないものとなった。次ページでは、ダイヤモンド編集部が独自入手した内部資料に記されていた、沢井社長が職員に向けて「これまで以上の努力」を求めた経費削減の内容を明らかにする。







