職場のモチベーションも上がる!?<br />「異業種体験ツアー」の意外な効果「フレアバーテンダーになる旅」の1コマ (写真提供:仕事旅行社)

 ブックセレクター、メイクアップアーチスト、リバーガイド、建築士、盲導犬指導員、宮大工、日本語教師、バーテンダー……。こんな職業を、プロのナビゲートで体験できるサービスが人気を呼んでいる。

 仕事旅行社が提供する「仕事旅行」は、大人向けの職業体験を提供するサービス。2011年のリリース開始以後、20代、30代の女性層を中心に需要が広がり、現在は約60職種のツアーを提供する事業に成長を遂げている。

 旅行感覚の気楽さで異業種を体験し、自身のキャリアデザインを見直そうというのが仕事旅行のコンセプト。第一線で活躍するプロの仕事場を訪問し、少人数で内容の濃いレクチャーを受けられる点が人気の秘密だ。価格はどれも1万円前後。日帰りで気軽に体験できるプランが大半を占める。

「建築士になる旅」では、一級建築士の事務所が“旅先”。設計物件のレクチャーを受けながら住んでみたい家についてブレインストーミングを行ったり、模型の製作も体験する。ランチミーティングでは、ざっくばらんな雰囲気で業界の実情を聞くこともできる。

「映像翻訳家になる旅」は、女性に人気。映画や海外ドラマの翻訳を手掛ける専門オフィスを訪問。1日の業務を追いながら、実際に字幕翻訳を体験。翻訳家になるためのハウツー講義も受けることができる。

企業の「研修」としての需要が増加

 これらのツアー、従来は就職や転職を考える個人が、インターンシップ的な感覚で利用するケースが大半であったが、最近は少し様相が変わってきた。顕著なのが、企業の研修旅行としての需要増加である。

「昨年の秋ごろから、企業が研修の一環として利用するケースが増えてきました。社の方々に振り返りの機会を作り、自己の仕事の強み・弱みを客観視させたい。また、顧客の立場を体験することで日々の業務への気づきを図りたい。そのようなニーズが多いですね」(仕事旅行社代表の田中翼氏)

 職場の同僚や先輩と共に他社の企業風土や仕事技術に触れることで、自社の業務の改善点を見出したり、モチベーションアップにつながるケースも多いという。