トランプ氏の「大誤算」ガソリン高が“クルマ社会”の家計を直撃、共和党支持層にも不満拡大Photo:Tom Williams/gettyimages

ガソリン価格「4ドル」超えの痛み直撃
直近のトランプ支持率は35%と最低水準

 米国とイランの戦争は、双方が停戦・和平に向けた協議開始で合意し覚書に署名して7月17日で1か月となったが、7月に入ると、双方が相手の合意違反を非難して、攻撃と報復を再開、合意は元の木阿弥にもどったような状況だ。

 先行きはどうなるのか。不透明感が再び強まるが、トランプ政権が当初からの強硬姿勢を軟化させていることは確かだ。トランプ政権が和平を急いだ背景の一つとして考えられるのが、米国家計に広がる生活苦への不満であり、特に影響が大きいとみられるのが、直近のガソリン高だ。

 米国の消費者が毎日目にするガソリン価格は、家計がインフレを認識する代表的なメルクマールとなっている。開戦後、米国のレギュラーガソリン価格は急騰し、4月から6月中旬にかけて4ドル/ガロン(約160円/リットル)を上回った。その後、和平合意を受けて、ガソリン価格もやや低下したとはいえ、依然4ドル/ガロンに近い水準で推移している。

 全米自動車協会(AAA)が2026年4月に行った調査によれば、約40%の消費者はガソリン価格が4ドルになった時に「運転を減らす」「代替の交通手段を使う」などによって運転習慣を変えると回答している。

 ガソリン価格が消費者心理の節目である4ドルを超えたことで、消費者は今まで以上に生活への圧迫を実感した可能性がある。中間選挙まで半年を切るなか、ガソリン高の「痛み」が民主党支持層や無党派層のみならず、共和党支持層にまで広く及んだと考えられる。

 直近の世論調査では、トランプ大統領への支持率は35%と、最低水準に落ち込んでいる。米経済自体は、AIブームなどに支えられて堅調だが、トランプ関税実施による価格転嫁などでインフレに対する国民の不満は高まり、共和党支持層にも広がっている。

 経済誌エコノミストが2026年5月までに実施した調査によれば、諸政策の中でもインフレ対策への評価が最も低い。以前から評価は低迷していたが、開戦に伴うガソリン高によって、さらに低水準へと落ち込んだ格好だ。

 11月に予定される中間選挙では、「激戦州」などで共和党が苦戦し議席を大幅に減らすとの見方もあり、脱炭素政策を転換し、化石燃料重視を打ち出すことによる原油価格の引き下げを主張していたトランプ大統領にとっては、大きな誤算となった。