家電市場でも新しい動きが見られる。アイリスオーヤマは、大手メーカー出身の技術者を積極的に採用しながら、価格を重視する市場に焦点を当てることで存在感を高めてきた。さらにニトリも家電開発・販売を強化しており、新しいプレーヤーが市場を活性化させている。

文系・理系の区別より
採用で重視されること

 こうした業界の変化は、採用にも大きく影響している。

 現在、各社が共通して求めているのが「デジタル人材」だ。AIやITの知識を持ち、それを仕事に生かせる人材への需要はますます高まっている。求められているのは、ソフトウェアを開発できるエンジニアだけではない。AIを業務で活用できる人や、新しいサービスを企画できる人材など、技術とビジネスの両方を理解する人材への期待も大きくなっている。

 そのため、文系・理系という区分も以前ほど重要ではなくなりつつある。社会や経済の動きを理解し、「どのような課題があり、それを技術でどう解決するか」を考えられる人材は、今後さらに活躍の場が広がりそうだ。

 デジタル技術を理解しながら、ビジネスの視点も持つ人材が企業から高く評価されるようになっている。

 また、海外企業との連携が増える中で、英語力の重要性も高まっている。台湾をはじめ海外企業との協業が進む可能性があることから、技術力だけでなく、グローバルに仕事ができる力も今後は大きな武器になるだろう。

 さらに、自動車業界でもソフトウェアや半導体人材の採用が活発になっており、電機業界との人材獲得競争は今後さらに激しくなるとみられる。優秀なデジタル人材を確保できるかどうかが、企業の成長を左右する重要なポイントになりそうだ。

 黒字リストラという言葉だけを見ると厳しい印象を受けるが、その実態は「縮小」よりも「転換」に近い。企業は次の成長に向けて必要な人材を積極的に採り入れようとしており、デジタルスキルを身に付けた若手にとっては、新しい活躍のチャンスが広がっている。

 電機業界は今、ものづくりの強みにデジタル技術を融合させる、新しい時代へ歩み始めている。

(早稲田大学大学院 経営管理研究科教授 長内厚氏への取材を基に編集チームが構成)

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