「2010年の記録的な大猛暑のときに初めて使った言葉ですが、1000年前の暑さは色々なことで証明されています」とは、森田氏ご本人。「千年猛暑」という言葉、特に科学的な定義はない。2010年から2012年にかけて、東京では最高気温が30度を超える真夏日が60~70日以上あるという異常気象が続いた。調べると、平安時代にも真夏日が突出して多い時期があり、それ以来の現象ということで、「千年猛暑」と名付けたという。あくまで「千年猛暑の時代」ということであり、特定の年における猛暑を指し示すものではない。

 世界的に見ても、有史以来最も気温が高かったのは、西暦1000年頃(800年~1300年頃)と言われており、気象学の世界では「中世温暖期」と呼ばれている。北極海は今より海氷が少なく、ヨーロッパではこの時期、バイキングが凍結していない海を渡ってグリーンランドに入植するなど、より北方へ領土を広げたことが知られている。現在は陸氷に覆われているグリーンランドも緑の大地だったと言われ、氷の下からはワインづくりの道具なども発見されているという。

 日本でも、平安時代から鎌倉時代にかけて、やはり気温が高かったと思しき記録が残っている。『気候の語る日本の歴史』(山本武夫著)には、宮中(京都)で花見が行われた日時から、気温がかなり高かったのではないかとの論証がある。

1000年前と比べて今はもっと暑い?
高い海水温がさらに気温を押し上げる

 さらに森田氏は、近年の猛暑は気温が高かった1000年前と比べても、さらに暑いのではないかと指摘する。

「昔の猛暑時と同じ気圧配置になれば、今の方が暑いのではないでしょうか。来年以降、もし冷夏の予報があっても、昔の平年並みの暑さかもしれません。地球の自然現象には様々な周期があります。氷河期のような数万年規模のものもその1つ。この100年の温度変化を見ると、気温の上昇が著しい。近代的な気象観測が始まったのも100年ほど前ですが、日本での高温の記録のほとんどが、この十数年の間に集中しています。気象の変化には火山噴火のような自然要因に加えて、人為的な要因があるし、都市化の影響もあります」

昨年掲載した分析記事でも触れたが、確かに近年の日本の猛暑は、地球温暖化のような気候変動よりも、むしろ人為的な要因や都市構造の変化によるところが大きいようだ。都市部の地面は土の地面と違い、アスファルトに覆われているため、水蒸気がすぐに乾いてしまい、ずっと暑い状態が続く。また、エアコンの室外機などにより、そこかしこから人工的な熱が噴出する。海風も高層ビルに遮られ、内陸まで届かない。こうして「ヒートアイランド現象」が年々深刻化していくというわけだ。