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伊藤忠商事が8月3日、米航空機リース会社に約3000億円出資すると発表した。出資比率は50%で、旺盛な航空機需要を取り込みたい考えだ。旅客需要の高まりを背景に、航空機リース市場はさらなる拡大が期待される一方、経営の工夫で収益性を高める余地が少なく、市場関係者からは「伊藤忠らしくない投資」と懸念する声も上がる。伊藤忠はこうした下馬評を覆し、新たな収益の柱に育てられるのか。連載『クローズアップ商社』の本稿では、航空機リース事業の構造を解説するとともに、大型投資に込めた伊藤忠の狙いに迫る。(ダイヤモンド編集部 大川哲拓)
深刻な機材不足が事業の追い風も
「発展性に限界」と懸念される理由
「航空機リースは今後、安定的に大きく伸びていく事業」「資産規模が大きくなればしっかりともうけていける」
伊藤忠商事の中宏之CFO(最高財務責任者)は2026年8月3日の記者会見で、こう力説した。
伊藤忠が約3000億円を出資するのは、米アビエーション・キャピタル・グループ(ACG)。ACGは、伊藤忠の持ち分法適用会社である東京センチュリー(出資比率29.9%)が19年に約3200億円で完全子会社化していたが、伊藤忠と東京センチュリーが50%ずつ出資する共同経営体制に移行する。
KPMGのレポートによると、26年1月時点でACGのリース機の保有・管理数は発注残を含めて448機で世界9位。ここに伊藤忠が自社で保有・管理する機体を加えると約550機へと膨らみ、世界6位へと浮上する。
伊藤忠が3000億円の大型投資を決断した背景には、マクロ環境における強烈な追い風がある。
世界の旅客需要は好調で、国際航空運送協会(IATA)は、26年の世界の旅客数が50億8500万人(前年比2%増)に達すると予測。グローバルな航空需要はすでにコロナ禍前の水準を上回っており、今後も堅調に伸びると見込まれている。
加えて、深刻な機材不足も航空機リース業界にとっては追い風だ。
航空各社は旺盛な旅客需要を取り込むべく新造機の発注を進めている一方、メーカー側の供給は大幅に滞っている。米ボーイングでは、相次ぐ品質問題や工場労働者のストライキで生産スケジュールに遅れが発生。欧州エアバスもエンジン不足をはじめとするサプライチェーンの混乱から、納入の先延ばしを余儀なくされている。新造機が手に入らないエアラインは中古機や既存リース機に頼らざるを得ないため、機体のリース価格が高騰しているのだ。
こうした航空機不足の状況下で大型投資を決めた伊藤忠だが、市場や業界関係者からは「経営手腕で収益性を高める余地が少なく発展性が乏しい」「伊藤忠らしくない投資だ」と疑問視する声も聞こえる。
果たして、伊藤忠はこうした懸念を払拭し、航空機リース事業を収益の柱に育てることができるのだろうか。次ページでは、資金力がものをいう航空機リース業界特有の構造から、「伊藤忠らしくない投資」といわれる理由を読み解きつつ、同社が描く勝ち筋を検証する。







