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2025年度決算で伊藤忠商事が5年ぶりに総合商社の純利益トップを奪還した。商社の序列争いは「純利益」で語られることが多いが、当期に現金(キャッシュ)を幾ら稼いだかを示す「キャッシュフロー」で見ると、別の景色が浮かび上がる。連載『クローズアップ商社』の本稿では、財閥系商社の圧倒的な「稼ぐ力」の源泉を明かし、商社業界の覇権争いの深層に迫る。(ダイヤモンド編集部 大川哲拓)
キャッシュフローは三菱商事が1位で伊藤忠3位
それでも財閥系が油断できない現実とは?
2025年度の通期決算は、伊藤忠商事が連結純利益9003億円をたたき出し、財閥系の三井物産(8340億円)と三菱商事(8005億円)を抑えて、5年ぶりに業界首位となった。
しかし真の“稼ぐ力”を測る上で、純利益は不十分といえる。純利益には「減損」のような会計上の見積もりによる損失や、出資先の「持ち分法による投資損益」など、現金(キャッシュ)の出入りを伴わない損益が含まれるからだ。
そこで有用なのが、本業の営業活動で得られた現金の出入りを示す「営業キャッシュフロー(CF)」をベースとした指標だ。
総合商社は巨額のトレーディングを行うため、決済のタイミングにより売掛金や買掛金といった「運転資本」が期ごとに大きく変動してしまう。そのため、各社は営業CFから「運転資本の増減」などの要素を除いた「当期に営業活動で稼いだキャッシュ」を示す独自の指標を設けている(編集部注:伊藤忠は「実質営業CF」、三井物産と丸紅は「基礎営業CF」、三菱商事は「営業収益CF」、住友商事は「CF収益力」と各社で名称が異なる。本稿では以下「CF」と表記する)。
この指標で見ると、純利益ランキングとは異なる序列が浮かび上がる。純利益では3位だった三菱商事がトップの1兆0481億円、次いで三井物産が9789億円と巨額のキャッシュを稼いだ。一方、純利益では首位だった伊藤忠は、CFでは3位の9400億円にとどまる。
なぜ財閥系トップ2社は、純利益を大きく上回るキャッシュを生み出せるのか。次ページでは三菱商事と三井物産のCFを押し上げている要因を決算資料から解剖しつつ、両社が慢心していられない現状を明らかにする。







