住宅ローン金利の上昇に言及したFOMCだが、QE縮小方向は変わらない Photo:REUTER/AFLO

 7月30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表された声明は、米国経済拡大の評価を前回と比べて「moderate(適度な)」ペースから「modest(控えめな)」ペースに1段階下げた。

 結論から言えば、米国の金融緩和策(いわゆるQE3)、すなわち連邦準備制度理事会(FRB)による資産購入額の縮小は「9月開始との見方が少し後退した」(加藤出・東短リサーチ社長)と言える。9月の可能性がゼロになったわけではないものの、「今年12月開始」という見方が増えてくる可能性がある。

 その最大の要因は、5月22日にバーナンキFRB議長がQE3の早期縮小の可能性を示唆して以降、1%以上も跳ね上がってしまった住宅ローン金利である。今回の米国の景気拡大は住宅市場の回復に支えられてきただけに、住宅ローン金利の上昇が住宅販売などに与える影響を見極めていく必要性が高まったわけだ。

 実際、ハト派(金融緩和継続)寄りの声明を受けて米長期金利は低下。ドルも売られ、ドル円相場は一時97円台後半まで下落した。

 もっとも、経済拡大のペースがmodestに若干低下したとはいえ、QEの縮小・終了自体は2011年以来、長らくFOMCが議論してきたことであり、「相当な決意に裏打ちされているもの」(井上哲也・野村総合研究所金融ITイノベーション研究部長)と考えられる。よって縮小の方向性に変わりはない。