記者説明会で説明する積水化学工業の清水郁輔社長 写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
積水化学工業が豪州の住宅大手オースビルドグループを約370億円で買収する。住友林業など日系ハウスメーカーの海外展開といえば米国市場が主戦場だが、なぜ投資が過熱する米国ではなく、あえて豪州への参入を決めたのか。特集『住宅メーカー総力戦』の本稿では、積水化学工業が見いだした独自の勝ち筋と豪州市場のリスクを解き明かす。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
豪州の住宅メーカーを370億円で買収
住宅カンパニーとして過去最大規模
「成長市場の豪州や北米市場への展開を強化する。将来的には住宅カンパニーの海外売上比率を5割まで高めたい」
9月10日、東京都内で記者会見した積水化学工業の清水郁輔社長は海外シフトへの強い決意をそう語った。
同社はこの日、豪クイーンズランド州の宅地開発・住宅建設大手、Ausbuild(オースビルド)グループの株式51%を約370億円で取得すると発表した。今回の買収は積水化学の住宅カンパニーで過去最大規模になるという。
2026年3月期の住宅事業の売上高は5362億円と、グループ全体の売上高の約4割を占める主力事業だ。ただ、人口減少に直面する国内市場は限界を迎えつつある。これまでは環境性能を訴求した「スマートハイム」などの高付加価値な住宅を展開してきたものの、中長期的な成長のためには海外市場の開拓が避けて通れないと判断したようだ。
同社はこれまでにも、タイの現地企業と合弁企業を設立したり、モジュラー住宅の工場をカナダに設立したりして、海外進出を強化してきた。しかし今回の案件は規模から見て、同社にとって“乾坤一擲”の買収案件といえる。
国内の新設住宅着工件数が減少の一途をたどる中、大手ハウスメーカー各社は海外シフトを加速させている。今年2月には住友林業が米国の住宅大手トライ・ポイント・ホームズを6500億円で買収すると発表して業界の注目を集めた。
ただ、住宅各社がこぞって巨額資金を投じる主戦場といえば米国市場だ。なぜ積水化学は、住宅開発競争が過熱する米国ではなく、あえて豪州市場への大型投資に踏み切ったのか。
背景には、米国市場とは異なる豪州市場の魅力と、独自の勝ち筋があった。次ページでは、積水化学があえて豪州への投資を決断した背景を解説する。







