取締役エッジコンソーシアムの設立を発表する伊藤邦雄氏(左)と安部慶喜氏 Photo by Takeshi Shigeishi
アクティビストが今、矛先を向けているのが日本企業の取締役だ。株主総会で解任が相次ぐなど、かつてない地殻変動も起きている。こうした異変を受け、旧デロイト(現アビームコンサルティング)出身のコンサルティング会社経営者が新たなコンソーシアムを立ち上げた。タッグを組むのは「伊藤レポート」の生みの親、伊藤邦雄氏。連載『アクティビストの実像』内の特集『コンサル×アクティビスト 資本市場を塗り替える“知の総力戦”』の中編で、3年で上場企業500社の参画を目指す新プラットフォームビジネスの全貌に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
社外取の形式整うも実質は道半ば
安定株主消滅で迫られる取締役改革
「社外取締役市場が日本に突然できたが、形式先行で実質はまだまだだ。取締役会の質が高まったとは言えない。日本の企業風土を支えてきた安定株主がいなくなる今、日本企業のシステムを作り替える覚悟が問われている」
2026年10月6日、東京・八重洲のブルガリ ホテル 東京。一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏は、集まった報道陣を前にそう強い危機感をあらわにした。
伊藤氏は14年、経済産業省のプロジェクトで「伊藤レポート」を取りまとめ、ROE(自己資本利益率)8%の目標を提示して日本企業の資本効率意識を一変させた第一人者だ。セブン&アイ・ホールディングス、東レ、東京海上ホールディングス、小林製薬……。伊藤氏自身、名だたる企業で社外取締役を務めてきた経験を持つ。
その伊藤氏の隣に立つのが、大手コンサルティングファームのアビームコンサルティングで業務変革やデジタルのトップを務め、21年に独立してコンサル会社B&DXを立ち上げた安部慶喜社長だ。この日、伊藤氏と安部氏が共同で発表したのが、「取締役エッジコンソーシアム」の設立である。
コンソーシアム立ち上げの引き金となったのは、近年の株主総会で噴出したアクティビストによる取締役選解任の猛攻だ。株式の持ち合い解消が進み“防壁”を失った日本企業の取締役会は今、資本市場の重圧に耐え得る実質を備えているとは言い難い。
各社が開示するスキルマトリックスも、実態は「なぜその人物のその専門性に丸がついているのか」の根拠すら曖昧なままだ。伊藤氏は「これからは対話を通じてスキルの妥当性を突っ込んで問われる第2フェーズに入る。女性比率などの数値目標を満たすだけでなく、実質的な機能が伴っていなければ市場の評価は得られない」と断言する。
伊藤氏自身が主導してきた10年余りのガバナンス改革が、皮肉にも「形式先行」の社外取市場をつくり出してしまった現実。対症療法の「防衛コンサル」や形式的な統治対応だけでは、もはや資本市場の追及はしのげない。
だが、こうした変化のタイミングこそビジネスチャンスといえる。ガバナンス改革の重鎮と現場の変革を知るトップコンサルが仕掛けるコンソーシアムとは一体何か。そのスキームの全貌を次ページで解き明かす。







