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高市政権は日本銀行の利上げを表向きは“容認”しているが、人事によって日銀への影響力を強めようとしている。政治主導で日銀を支配したいという政権の“本音”は見透かされ、市場は円安と債券安で警鐘を鳴らす。特集『高市政権1年 サナエノミクスの功罪』の本稿では、次期日銀総裁・副総裁の人事予測とともに、高市政権と日銀を巡る攻防と金融政策の行方を探る。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
表向きは利上げを容認しつつも
日銀をコントロールしたい政権の本音
「日本銀行に関する理解が非常に危うい」――。発足から1年を迎えた高市政権と日銀の関係について、ある日銀の元幹部はこう警鐘を鳴らす。
高市早苗首相は2024年の自民党総裁選挙で、「金利をいま上げるのはアホやと思う」と発言したこともあって、利上げに否定的とみられている。足元ではスコット・ベッセント米財務長官や市場のけん制もあって利上げを“容認”しているものの、閣僚からは日銀に圧力をかけるかのような発言が止まらない。
典型的なのは城内実経済財政担当相だ。利上げを決めた9月の日銀の金融政策決定会合で、「日銀には、今回の決定につき説明責任を果たすとともに、既往の利上げが累積的に与える影響について十分点検していただきたい」と述べている。利上げの影響を点検するのはある意味当たり前ではあるが、わざわざ「十分点検」とくぎを刺したのだ。真意はもちろん、「連続利上げはやめろ。次の利上げまで間隔を空けろ」ということだろう。
加えて、「今後は、日銀が推計した中立金利も踏まえて検討していく必要があるのではないか」とまで言及した。日銀は、景気を過熱も冷やしもしない中立金利について、1.1~2.5%程度と推計しており、9月の利上げで政策金利は1.25%と中立金利推計レンジの下限を超えた。「中立金利に達したから今後の利上げは慎重にしろ」というけん制に他ならず、日銀の金融政策の判断基準にまで口を出すのは異例である。
慣例では、決定会合にオブザーバーとして出席する政府側の代表は、財務省と内閣府の副大臣だ。高市政権の内部からも、「城内氏はもう決定会合に出席させない方がいいのではないか」とのぼやきも漏れる。
この他にも、高市政権の「骨太の方針」の原案に、「『強い経済』の実現に向けては、適切な金融政策運営が行われることも非常に重要」と日銀の利上げをけん制するような文言が盛り込まれ、市場が反発する“骨太ショック”を招いたこともあった。
最終的に文言は削除されたが、火消しに追われた片山さつき財務相は、「金融調節は何か事が起きたら日銀が果断に、政府がどうこう言うのとは関係なくできる。このことが市場において大事だ」などと釈明した。だがこの発言についても前出の日銀元幹部は、「日銀の独立性はマーケットが混乱したときにだけ与えられるという趣旨の発言で、非常に危うい」と疑問を呈する。
総じて、表向きは日銀の利上げを容認しつつも、政治主導で日銀をコントロールしたいという政権の本音が見え隠れする。実際に、人事を通じた高市政権の“日銀支配”は少しずつ進行している。
次ページでは、日銀の正副総裁人事を候補者の実名付きで予測するとともに、高市政権と日銀を巡る攻防と金融政策の行方について深掘りする。







