来年4月から、予定通り消費税増税は実施されるのか。安倍首相は消費税増税に関する意見を聞くための有識者会議を設置。今月下旬から集中的に審議を行い、9月下旬から10月上旬にかけて、首相自身が最終判断を行う見込みだ。消費税増税の影響はアベノミクスの行方も左右する大きな決断となる。DOLの日本のアジェンダでも、専門家にご登場いただき、消費増税賛成、反対の立場から、議論を展開していく。第1回目は編集部が消費税増税を巡る議論の焦点を整理する。

消費税増税議論再燃の背景

 まず、これまでの経過を簡単に振り返ってみよう。

 昨年3月、民主党の野田政権が、消費税増税関連法案を国会に提出した。この関連法案を巡り、民主党、自民党、公明党の3党が、社会保障と税の一体改革として消費税の増税で合意。これにより消費税増税関連法案は、同年6月26日に衆議院で三党の賛成により可決、8月10日に参議院でも可決し成立した。

 消費税関連法は、来年の2014年4月1日から、従来5%の消費税率を8%に、その1年半後の15年10月1日から10%とすることを定めている。だた、法の附則で消費税率の引き上げに当たっては「平成23(2011)年度から平成32(2020)年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度」という経済成長率の目標値を定めるとともに、「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」と定めている。このため、法の定めた実施時期を半年後に控え、増税の可否が大きなテーマとなっているわけだ。

景気に悪影響はあるか

 議論の焦点は、消費税増税が景気に与える影響、財政再建に与える影響の二つに集約できる。

 景気に与える影響は、取りも直さずアベノミクスにどのような影響を与えるかということである。周知のようにアベノミクスは「大胆な金融緩和」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢から成り立っている。そして大胆な金融緩和によるデフレ(継続的な物価の下落)からの脱却が、すべての政策の前提になっている。