今年度の黒字化が“必達”の東京電力が、依然赤字を垂れ流し続けている。唯一の切り札である原発再稼働も先が見えず、再建計画も暗礁に乗り上げている。

「今年度は勝負の年と位置づけている。一生懸命、合理化に努めて、しっかりやっていきたい」

 7月31日、東京電力の廣瀬直己社長が放った言葉がむなしく響いた。昨春発表した「総合特別事業計画」では、3期ぶりの経常黒字化を見込む今年度は、まさに“勝負の年”。しかし、2013年4~6月期の連結決算では経常損益が294億円の赤字となり、先行きが危うくなっている(図(1))。

 この第1四半期は売上高と純利益で、四半期ベースで過去最高を記録している。だが、電気料金の値上げによる単純な売り上げ増と、国による賠償交付金6662億円が計上されたためで、経営状態が改善したわけではない。

 なぜ8%も値上げしたのに経常赤字が続いているのか──。

 図(2)は、第1四半期の主な経常費用の内訳である。人件費と各設備などの修繕費は過去最低で、コスト削減を進めていることがわかる。だが、人件費の約8倍に及ぶ燃料費は圧縮が進むどころか、前年比117億円増となった。