タイトルのこのセリフを聞いて、「自分のことだ……」とドキッとした人もいるのではないでしょうか。女性部下が頼んでいた書類などを仕上げてもってきたとき、パソコン画面を見ながら生返事しただけで、きちんとお礼を言わないままになっていませんか?もしくは、文書をメールしてもらったにもかかわらず返事も書かず、そのままにしてしまっている人もいるかもしれませんね。

 私はこれまで、女性部下のモチベーションを高めるスイッチの在りかは、大きく2パターンに分けられると考えてきました。

(1)仕事モチベーション派
 仕事そのものにやりがいを見いだします。“堅実キャリア”さんの多くがこのタイプです。好きな仕事に挑戦し始めた“天職ドリーム”さんにもあてはまります。

(2)職場モチベーション派
 職場の人間関係や居心地、待遇などの良さが仕事に取り組む動機になります。仕事モチベーションもあるけれど、「店長が尊敬できるから」「みんなが私を気にかけてくれるから」というまだ好きな仕事につけていない“天職ドリーム”さん、「時給がいいから」という“公私セパレート”さん、「課長や先輩が面白い人ばかりで会社が楽しいから」という“結婚ロマンス”さんは、こちらのタイプです。

 相反する志向をもつ2つのタイプですが、興味深いことに「女子社員は、こんな上司に怒っている!」といったテーマで座談会を開くと、合コン大好きの結婚ロマンスさんも、管理職志向の堅実キャリアさんも、仕事を頼まれた上司や先輩から感謝やねぎらいの言葉がないとき、

 「必要とされていないように感じて悲しくなる」
 「居場所がないように思える」
 「どうせ何をやっても評価されないんでしょ」
 「私のことをぜんぜん見ていてくれない」

 と感じ、モチベーションが下がるというのです。

 男性部下であれば、忙しさを言い訳にぞんざいに接してしまっても、「ああ、忙しかったんだな」「いつものことだ」と組織軸の視点で理解してくれる確率が高いものです。しかし、女性部下のモチベーションは、どのタイプであっても、上司のささいな気遣い――「感謝する」「ねぎらう」「見守る」――といったことで維持されていることがわかります。

 よくよく考えれば、これは当たり前のことかもしれません。仕事モチベーションの堅実キャリアさんであっても、経験の少ない若手のうちは、そうそうやりがいのある仕事など任されることはありません。そんなときささいな仕事であっても上司からねぎらいの言葉があれば、「これでいいんだ」「上司はちゃんと見守ってくれている」と安心できるのでしょう。