モバイル部門に注目が集まったカンヌライオンズ2013

 映画祭で有名な仏カンヌでは、国際的な広告賞も実施されており、世界中の広告人が注目する一大イベントになっている。世界最大のクリエーティブアワード「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2013」は、60周年を迎えさらに盛り上がりを見せている。

 Film Lionsグランプリに輝いた2作品のうちの一つ、インテルと東芝によるソーシャルフィルム「The Beauty Inside」が話題となったが、これは主人公が毎日記録しているビデオログに、視聴者がFacebookを通じて参加するという仕掛けで、この作品のように、ソーシャルメディアを活用した作品が目立った。

モバイル広告大賞に見る日本のクリエーティビティGoogle: Chrome World Wide Maze
http://prty.jp/works.htmlより

 そうした中で、今年で創設2年目になる若い部門がMobile Lionsだ。2年目で早くもCyber Lionsと並ぶ勢いとの声を聞くが、その部門のゴールド受賞は、日本のクリエーティブラボである「PARTY」が手掛けたGoogle Chromeの「World Wide Maze」というから、これだけでも日本の底力がわかる。さまざまなサイトを立体迷路に変えて、スマートフォンをコントローラーとして遊べるゲームだ。

 同部門のその他の受賞作品を見ると、キャッシュカードを忘れたり紛失した場合、モバイルに送られてくる数字を打ち込めば10ポンドまで引き出せる銀行のサービス。世界で多数の女性が強制結婚させられている事実をアピールするため、恋人たちが南京錠を一緒に掛けて永遠の愛を誓うことで有名な橋に、3500個の南京錠でメッセージを浮かび上がらせて、錠前についているQRコードをモバイルで読み取って寄付をすると解かれるというキャンペーン。あるいはストリートチルドレンの写真を撮って送ると、中国のBaby Back Homeという団体のデータベースに登録されている誘拐された子供の写真と顔認識ソフトでマッチングできるアプリなど。

 モバイルが社会インフラとして認知されていく結果、社会性の高い有意義なキャンペーンが選出されていると言えよう。一方、民間企業のマーケティングに寄与するモバイルという側面は、まだまだインパクトとして弱いと言えるかもしれない。

モバイル広告大賞に見るモバイル広告の進化・変遷

 カンヌでは2年目を迎えたモバイル部門だが、世界的に見れば、モバイルマーケティング協会(MMA)が「SMARTIESアワード」なるものを主催しており、このアワードは今年で第9回目を迎える。幅広く全部で20のカテゴリーからなる。