フェイスブックの株価が、昨年5月のIPO後初めて公開時の価格38ドルを超えたと話題になっている。

 フェイスブックのIPOは、ドラマティックなほどに「期待はずれ」なものとして、これまではシリコンバレーの教訓にもなっていた。

 同社IPOへの期待は空前のふくらみを見せ、有名ベンチャーキャピタル会社がギリギリに駆け込んで投資グループに仲間入りしたり、社員や関係者が公開前の持ち株を売るプライベート株式市場が、同社のおかげで確立したりした。

 ところが、鳴り物入りのIPOを果たしたはいいものの、株価は公開時に設定された38ドルからどんどん下がる一方。そして、公開前後に起こった情報開示やシステム不備の点での不手際は、訴訟問題に発展した。結局得をしたのはインサイダーらばかりで、この熱狂に誘われて株を買った一般の株主たちは、一時は半分にも下がった手持ちのフェイスブック株をうらめしく感じていたはずだ。

 景気後退の影響もあり、かつてのドットコム時代のように、まともな売上もないのに株価が期待だけで上昇するようなことはもうないと、人々は胸に刻んでいたのだ。

“弱点”だったモバイル広告が
見事に成長軌道に乗ったわけは?

 そのフェイスブックの弱みは特に、モバイル戦略だと言われてきた。ウェブを中心に利用されてきたフェイスブックは、当初ディスプレイ広告を戦略の中心に据えてきたが、スクリーン面積が小さいスマートフォンでは、それが通用しない。

 CEOのマーク・ザッカーバーグは、「モバイル」「モバイル」とメディアに出るたびにその重要性を口にしていたが、現実的にはそのモバイル戦略がなかなか効果を出さなかったのだ。

 ところが、先だって2013年第2四半期の業績発表会で明らかにされたのは、広告売上全体に占めるモバイル広告の割合が、前期の30%から41%に上昇したことだ。売上額にして6億5000万ドルに達した。

 株価上昇は、同社が強調してきたモバイル戦略への投資の結果が現れていると市場が評価した結果だ。フェイスブックでは、モバイル広告売上の割合は近く50%を超えるはずだと自信を持っている。