「週刊ダイヤモンド」7月27日号特集「ゲームウォーズ」では、マピオンが運営する「ケータイ国盗り合戦」とのコラボ企画を盛り込んだ。国盗りユーザーの消費力を見込み、部数増を狙った綴じ込み附録企画の顛末をお伝えする。
「何かコラボできませんかね」
地図サイト会社のマピオンと本誌とのあいだで、そんな会話が交わされたのは5月下旬のことだった――。
マピオンが運営する「ケータイ国盗り合戦」は、スマートフォンやケータイで楽しむスタンプラリーゲームである。日本国内が600の“国”に区分けされており、エリア内でケータイ画面の「国盗り!」ボタンを押すと制覇したことになる。位置情報機能がついたケータイやスマホならではの遊び方。自分の足を使って日本中を動き回り、「制覇した国数」をコレクションし、日本地図を埋めていくのがこのゲームの醍醐味だ。
107万人いる国盗りユーザーのうち、72.8%が30代以上。また、会社員(公務員を含む)が全体の78.5%を占める。要するに「出張や仕事で外出が多い大人のビジネスマン」が楽しんでいる様子が見て取れる。
驚くべきは、この国盗りユーザーたちの“行動力”と“消費力”だ。
なにしろ、制覇した国を増やすには、自分の足で動き回らなければならない。そして、ある目的地に向かって国盗りユーザーたちが行動するということは、それを集客の力に利用することができる。それを見込んで、毎年のように企業タイアップイベントが組まれている。
2011年1月には日本航空と沖縄の本島・離島を巡る期間限定のスタンプラリーを企画。閑散期の沖縄に8500人を動員(県外参加者8000人)し、攻略スポット効率的に周れる1泊2日の弾丸ツアー(3万8000円~)には580組が参加した。
サントリーとローソンは今年5月28日から6月10日まで、全国のローソンで、缶コーヒーBOSSなどの対象商品を買うと国盗り限定アイテムがもらえるキャンペーンを開始。今年で2回目となるキャンペーンだが、毎年ローソンから対象商品が“消失”するという現象を引き起こしている。昨年は1人で700本以上買った猛者もいたという。
東京急行電鉄も4月下旬から6月上旬にかけて、東急沿線の駅や商業施設を巡ってアイテムを収集するイベント「国盗りおにごっこ」を実施。3回目となる今年は、期間中2万人を動員し、集客に成果を挙げたほか、ゲーム特典が付いたオリジナルの1日周遊きっぷを3パターン、各5000枚用意したところ、即完売となった。「実際に使うのでなく、コレクションアイテムとして人気だった」(東急電鉄)という。
地域活性化にも一役買っている。今年1~2月に実施された、東京スカイツリーと東京タワーのある東京墨田区と港区でのイベントでは、スタンプラリーに加えて区内の商店街で買い物すると特典がもらえるとあって、のべ13万人以上が参加。商店街に4000万円以上の売上げをもたらした。
この消費力に本誌も目を付けたわけである。
一大イベント「夏の陣」に合わせ
特典満載の綴じ込み附録
「週刊ダイヤモンド」では7月27日号で「ゲームウォーズ」と題した特集を組んだ。ゲーム業界の最新動向に加え、ゲームが持つ“人を惹きつける仕組み”を集客やマーケティングや組織運営に活用する「ゲーミフィケーション」と呼ばれる手法を紹介した特集だが、その中で国盗り合戦とのコラボ企画を盛り込んだのだ。