女性の運転免許取得に補助金を出せ!

 クルマの運転免許は、取得しておけば仕事をするうえで便利なものです。しかし、自動車免許の取得にかかる費用はかなり高く、おまけに、運動能力などが相対的に劣ると費用がさらに高くなりやすいという性質をもちます。そして、ケータイの通話・通信サービスの販売と、クルマの販売を図表4のように対比してみると、“自動車教習は、携帯電話機のようなものだ”とわかります。

 ケータイの通話・通信サービスを販売したい会社が、顧客の携帯電話機購入に対して実質的に援助をおこなう(携帯電話機のメーカーから仕入れた価格より安く売る)ことは、日本では当たり前となっています。同じように考えれば、クルマを売りたい自動車販売店や自動車メーカーが、顧客の自動車教習受講を援助するというやり方もありそうです。

 もちろん、自社の商品を継続して買ってくれる顧客に対してでなければ、援助の意味はなく、ケータイの会社はそのあたりをうまく工夫しています。クルマでも同じことができるかというと、むずかしい感じがしますが、ちょうど、安倍晋三政権が「経済の成長戦略の柱のひとつは、女性の活用だ」といった趣旨のことをアピールしていました。

 日本では、女性のほうが男性よりも賃金が低くなりやすい一方で、免許取得のためのコスト負担(教習料、時間、労力)は女性のほうが重くなりやすいといえます。そこで、働く女性を社会的に支援する目的で、女性の運転免許取得に対して政府が補助金を出すという政策は、正当化できそうな気がします。ここまでの分析に基づいて、提案の論理的な流れを整理したのが図表5です。

 就業支援としては、若いうちに取得してもらっても、中高年になってからの取得でもいいので、学生かOLかに関係なく、年齢も関係なく、運転免許を取ろうとして指定自動車教習所に通うすべての女性を対象にすればいいでしょう。高齢化や過疎化で、介護や、地方の高齢者の買い物支援などのことを考えれば、女性の運転免許取得率を高める政策は、日本の経済社会にとってプラスが大きなものだといえます。

賃金などの男女格差を考えれば、自動車教習料の3〜5割程度を政府が負担するという政策は、十分に正当化できそうな気がします。エコカー補助金などよりもこちらを優先すべきだと、私は考えます。

 私が自動車メーカーの関係者なら、日本政府にこのような制度の実現をお願いしようと考えます。少子化が日本国内のクルマの販売に対して確実に悪影響をおよぼしているなかで、自動車メーカーとしては若者の免許取得率を少しでも高めたいところで、その余地が相対的に大きいのは明らかに女性のほうだからです。ここまでに示した一連のデータは、図表5にまとめた提案の説得力を増すと思われます。


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