政権の発足から24日でちょうど100日が経過し、鳩山内閣の弱点が鮮明になってきた。

 それは、首相の鳩山由紀夫氏をはじめ、主要な閣僚たちがそろって、頼れるブレーンを抱えておらず、首相や国務大臣としての情報収集力と事態の把握力に難があるという問題だ。にもかかわらず、「脱・官僚依存」を政策運営の基本方針に掲げてしまったため、内閣は、首相だけでなく、主要閣僚が、様々な重要案件で指導力と決断力を発揮できない状態に陥っている。

 代表的な例としては、22日に閣議決定したマニフェスト違反の1兆円増税(平年度ベース)という税制改革大綱に代表される予算編成や、国益無視の大風呂敷を広げながら実効ある合意作りに存在感すら示せなかった国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP15)の国際交渉、ボヤを大火にした日本航空(JAL)の再生支援問題、そして優柔不断な先送りを繰り返す普天間基地の米軍移転問題などが挙げられる。

 これらの混乱に対し、騙された格好の国民のいら立ちは高まる一方だ。時事通信や朝日新聞の世論調査をみても、発足直後は歴史的な高水準だった内閣支持率が、早くも50%を割り込んでしまったほどである。永田町や霞が関では、このままいくと「鳩山内閣は来年早々にも存続の危機に瀕しかねない」と懸念する声が強まっている。

長期的な財政を考えない
税制改正での無責任

 鳩山内閣が22日に閣議決定した平成22年度税制改正大綱は、「納税者主権の確立へ向けて」との副題が付いた113ページの労作だ。政府と党が別々に2本立ての税制調査会を保有した自民党政権時代の仕組みを改めて、鳩山政権は税調を政府税調に一本化した。10月に第1回会合を開いて以来、実に25回の会合を開催し、精力的に議論を重ねてきたという。

 大綱に盛り込まれた議論の前提条件をみると、わが国が「人口減少と高齢化」に伴う「経済成長力の低下」、「グローバル化」に付随する「国内産業の衰退」、「国内の格差拡大」など様々な困難に直面していることを率直に認めたうえで、これまでの政府の対応の遅れを取り戻そうという意欲的な問題意識を示している。この点については、的を射ており、好感の持てる内容と言えるだろう。

 しかし、具体的な税制の見直し点の議論となると、首を傾げざるを得ないものが少なくない。特定扶養控除の見直しのように方向性が二転三転するケースが目立ったからである。しかも、鳩山首相をはじめ、主要閣僚は、場外での無責任な発言を繰り返した。最終的に、「鶴の一声」の役割を果たした格好の小沢一郎幹事長の「民主党の要望」も、いったい、どういう民意がどのように吸い上げられたのか、なぜ、マニフェストより、この内容が要望として取り上げられたのか、わかりにくいものだった。