Photo by Ayako Suga
来日した欧州航空大手エアバス社のファブリス・ブレジエCEOは意気揚々としていた。現在、日本におけるシェアは13%にもかかわらず、「20年後には5割にしたい」と、掲げた目標の大きさが物語っている。
それもそのはずだ。わずか3週間前に、日本で“大金星”を収めたばかりだからだ。10月7日、日本航空(JAL)が長距離路線用の中型機として、エアバスのA350型機を大量発注した。31機のカタログ価格は9500億円というビッグディールで、日本の航空市場における勢力図が大きく塗り替わった瞬間だった。
世界の航空機市場は米ボーイング社とエアバスで二分するが、こと日本においてはボーイングが8割超と圧倒的なシェアを握ってきた。戦後の防衛・航空政策など政治的要因と複雑に絡み合っていたためだ。
その一角を崩されただけあって、「取引を勝ち取れなくてがっかり。しかしJALが引き続きビッグカスタマーであることに変わりはない」とボーイングのランディ・ティンゼス マーケティング担当バイス・プレジデントは、落胆の色を隠さない。一方で、「エアバスは、目標数字を洗い出して根拠を示すべき」と早速ジャブを入れることも忘れない。
製造業との関係にも影響
ボーイングの強みは「大型機から小型機までそろう商品の豊富さと日本サプライヤー(製造業)とのパートナー関係」(ティンゼス氏)にある。日本からの部品調達は、最新鋭の中型機B787型機では35%に及び、2015年には年間50億ドル(約5000億円)を見込む。
一方のエアバスは日本企業からの部品調達が年間10億ドルにとどまっているものの、「上限を設けるつもりはない」と今後は積極的に増やしていく予定だ。