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 マネジメントのグルは信奉者からは賞賛され批評家からは噛みつかれる。そんな時代にあって、マイケル・ポーターは学界からも実業界からもほとんど批判されることのない稀有な存在の1人である。最初の主著『競争の戦略』を発表した1980年以来、戦略思想の最前線に立ち続けている。

人生と業績

 1947年に生まれたポーターは、1969年に航空工学の学士課程を終え、26歳の時にハーバードビジネススクールで教鞭を執り始めた。多くの学者がそうするように、彼もモニター社を設立し、最先端企業と政府機関の両方に戦略コンサルティングを行なっている。

 彼の戦略思想は産業や企業の精緻な研究に裏打ちされている。ほぼ20年にわたって彼の思想は一貫性を保ちつつも発展的であり、『競争の戦略』が1980年代初めに多くの企業にとってのバイブルとなって以後も停滞することがない。

思想のポイント

 『競争の戦略』が発表されるまで、ほとんどの戦略思考は、企業の資源を組織して特定の市場状況に適合させることや、値下げで市場シェアを引き上げて競争力を高めるといったことに重点を置いていた。イゴール・アンゾフの研究から生まれたこうしたアプローチは、システムやプロセスに収れんされ、企業の中での戦略に位置を与えてきた。

 ポーターは『競争の戦略』でこれらの異なるアプローチを調整し、経営者に戦略についての新しい考え方を提供した。それは市場や企業の観点からだけではなく、産業そのものの観点から戦略を見るというものだった。

●バリューチェーン
 ポーターは、企業活動には主活動と支援活動という2つの異なる種類があるとした。

 主活動はおもにインプット(原材料)をアウトプット(製品)に変えることや、その輸送や販売後のアフターサービスに関するものである。これらは普通「ライン部門管理」とされる主要な活動であり、以下のようなものがある。

・入荷ロジスティクス:資材の受け渡しと倉庫業務
・オペレーション:原材料を最終製品に変換させること
・出荷ロジスティクス:注文処理や製品の配送
・マーケティングと販売:情報のやりとりや価定設定など
・サービス:据付工事やアフターサービス

 主活動を支える支援活動には以下のようなものがある。

・調達:購買と支給
技術開発:ノウハウ、手順、スキル
・人材マネジメント:採用、昇進、査定、報奨、能力開発
・会社のインフラ:全般的管理、品質管理、財務、企画