「CEO(最高経営責任者)に就任して本当に多くのことを学びましたよ。これまでこの会社について、本当に少しのことしか知らなかったのだと…」

クルザニッチ氏は基調講演で「コンピューターはますます個人のものになっていく」と説明した
Photo by Jun Morikawa 

 10月23日、米カリフォルニア州サンディエゴで開かれた米インテルの投資先向けの会議。基調講演で登壇したインテルのブライアン・クルザニッチCEOは苦笑しながら、トップ就任からの約半年についてこう語った。そして自戒を込めるように、「もっともっと速いスピードで変化し、成長を続けなければならない」と述べた。

 パソコン時代の盟主として長年君臨し続けてきたインテルだが、近年は急速に台頭してきたスマートフォンやタブレットによる「モバイルの波」に乗り遅れ、苦戦が続いている。パソコンがITの主役の座を奪われる中、インテルの成長も鈍化し、7〜9月期の連結決算では売上高は前年同期比でほぼ横ばい、純利益は1%減少。昨年11月には、時価総額でライバルの半導体大手米クアルコムに抜かれる屈辱も味わった。

 このままでは半導体トップの座も奪われかねない――。そんな危機感の下、今年5月に新たにトップに就任したのが、それまでCOO(最高執行責任者)を務めていたクルザニッチ氏だ。クルザニッチ氏は今秋から、各国に足を運んでは「新生インテル」の戦略を訴え始めている。

タブレット市場を攻略

 では、インテルの新戦略とは一体どのようなものなのか。 「極めてシンプルで、あらゆる事業領域で勝てるサービスを提供していく」とクルザニッチ氏。

 一番わかりやすいのが、タブレット市場の攻略だ。現在、インテルが独占的なシェアを誇るノートパソコン市場の強さを、タブレットやスマホ市場に浸透させていく狙いだ。具体的には、ノートパソコンとしてもタブレットとしても使用できる「2イン1」という端末を打ち出している。