巷で言われる消費増税リスクは本当か?
わかり易いからアノマリーが起こり易い
「来年は4月に消費税率の引き上げが待ち構えており、景気の勢いはそこから鈍化する。場合によっては景気後退があるかもしれない」
消費増税は、誰にでもわかりやすいイベントなので、投資家、メディア、企業経営者、政治家など、それぞれがリスクを強く意識する。
投資の考え方に沿って冷静に見つめると、こうしたわかりやすいイベントこそ、過剰反応の歪み(アノマリー)が起こりやすい状況だと認識すべきだろう。
まず、簡単な事例から振り返ってみよう。2013年のダウ平均株価は、年間を通じてどのくらい上昇したかをご存知か(2012年末から2013年11月18日までの上昇率)。そして、その年間上昇率は2000年以降で何番目に高かったのか。
答えは年間22%の上昇率で、2000年以降の14年間で2003年(25%)に次いで2番目に大きい上昇率である。こう言うと、きっと米量的緩和第三弾(QE3)が効いたからだろうと思うだろうが、それは正確ではない。
日本の株価が今年5月を境に上昇力を失ったことは、周知の事実だろう。米国ではQE3の縮小観測が台頭した後も、年後半にかけて順調に株価は上昇した。昨年末の1万3104ドルが、このところ1万6000ドルに手が届きそうなところまで上がっている。
昨年の今頃(11月)は、誰もが「米経済には財政の崖のリスクがある」と騒いでいた。歳出削減による景気下振れリスクによって、「○○%も経済成長率を押し下げる」という解説が乱れ飛んでいたのが、1年前のことであった。
あれから1年が経過し、財政の崖は話し合いで緩和された部分もあったが、歳出削減が景気を下押した部分も小さくなかった。米議会のねじれは思った通り深刻で、債務上限問題は大きく揉め、10月には政府閉鎖が起こった。
それでも、米経済は堅調に拡大して、株価は年後半にも加速した。財政要因で、民間経済の活動が制約されることは予想外に小さかったのである。