例えば、キリウという日産系のブレーキメーカーがあるが、まずは一旦ファンドに買収されて、社長が自由に経営できたからこそ企業価値が高まって、現在は戦略的パートナーである住友商事の100%子会社になった。最初から事業会社傘下に入ると、そこから人が送られてきて自由に経営もできない。そういう意味で投資ファンドとやるメリットがあった。

――その投資ファンドとやるメリットは、日本の企業経営陣の方々にどれぐらい理解されていますか?

 経営陣の定義や線引きによるが、投資ファンドの活用効用を理解している経営陣は大企業で行けば20%以下、もしかすると10%程度だろう。そもそも投資ファンドの種別を理解している人たちも少ない。スティール・パートナーズとユニゾン・キャピタルの違いをクリアに説明できる経営者はすごく少ないだろう。アクティビストとバイアウトファンドの違いが分かったとしても、バイアウトファンド間の違いまで理解している人はほとんどいないだろう。

 ファンドは運営者によってその性格が大きく異なる。銀行からお金を借りるのとは違い、ファンドからの投資を受け入れることは経営権を渡すことであり、相手が非常に重要である。一方、中には付き合ってはいけないファンドも存在する。例えば、資金源が不透明だったり、自分たちが儲かればいいと思っている人たちのファンドなどである。実際には、そんなには多くは存在しないが、これらも一緒にして考えている経営者もいらっしゃる。

 したがって、ファンドからの出資の可能性がある場合は、安心のできるファンドと一度会われたらどうですか?とアドバイスすることにしている。それらファンドは企業価値を高めた実績があるはずなので、過去の案件で投資時、投資後にわたってどうしたのかを説明させる。

――さて、そんなファンドですが、存在意義とはなんでしょうか?

 バイアウト・ファンドは企業価値を高めることが仕事なので日本経済全体にとってもプラスの影響がある。アクティビスト系は別として、ファンドによる買収から投資回収まで成功した場合、企業価値は高まっており、日本経済全体にとってプラスである。

 例えば会社を売りたい人がいた場合、その時にファンドがなかった場合とあった場合の差を考えてみると、ファンドがなければ買ってくれる人が少ない。その結果倒産する企業もあるかもしれない。一方、ファンドが存在することで売り手の選択肢が増え、売却の可能性、M&Aの成功確率が高くなる。