ミャンマーにおいて、今でも医療関連で改善のニーズが極めて高いことを、過去2回の連載で見てきた。それは制度的な面もあれば、医師、看護師の数、また薬品や医療機器の充実等広範囲にわたっている。
医薬品や医療機器については、現在インドやタイ、中国等で製造された安価な商品が幅を利かせてはいるが、現場の医師の声を拾っていくと、価格は高くても信頼性の高い日本の医薬品や医療機器に対する根強い人気が存在する。今後の経済水準の上昇に伴い、より高額の医薬品や医療機器の購入が可能になるについて、日本製品が伸びていく余地は大きいと考えられる。
一方で、実際にこれらの医薬品や医療機器の製造や販売をミャンマーで行う際には、外資規制の観点からはどのような規制があり、現地進出を検討する際にどのような点に留意する必要があるのだろうか。これも、仮にミャンマー以外の近隣諸国と比較して見ていくことにより、相対的なミャンマービジネスの難しさが鮮明に見えてくる。今回は、東南アジアの近隣諸国と比較した外資規制の観点から見ていきたい。
近隣諸国の進出手順と比較して
ミャンマー進出は割に合うか?
「日本製は、やはりいい。もっとミャンマーで、安く手に入ればと思っているのだが、何とかならないものか……」
ミャンマーでの医薬品や医療機器の現況について話が及んだ時に、目の前にいたKyaw Myaint Naing氏はおもむろにつぶやいた。Myanmar Medical Associationという現地の医療関連団体のトップを務める人間だ。
第7回の連載において、ミャンマーのとある病院において、現場の医師からの日本製医薬品や医療機器に対する高い期待感をご紹介したが、ミャンマー医療関連に係わる人の複数の人間から同じような思いを聞いた。
既に現地に販売拠点を置く日系医療関連会社も多いが、これから本格的な経済発展が始まる現地医療関連市場の潜在的なニーズに比較すると、そこには大きな進出の余地がありそうだ。
「ミャンマーの市場については皆期待感を持っているのですが、本格的な進出になるとやはりODA関連とか、より確実な形の進出でないと難しいという話が多いですよ」
ミャンマーで開催する医療展示会をコーディネートしている方のコメントだ。この医療展示会への参加を日本の医療関連の会社に募ったものの、思ったほど反応は返ってこなかったという。
「確かに市場として魅力的ではあるのだが、他にも東南アジアで強化すべき市場はあり、今はミャンマーにまで労力を割けないと言う企業も多いです」
市場としての魅力度は、その周辺の国々と比較した相対的な視点で見ていくことが重要だ。そこで今回は、参入のしやすさに軸足を置いて、果たしてミャンマーは、周辺諸国と比較してどこまで外資にとって参入しやすい市場なのかを見ていきたい。