【技法1】
読書ノートは「一言」でいい

 読書ノートの書き方にもコツがあります。簡単に言うと「自分にとって大切なこと」に徹底してフォーカスすることです。読書の目的は、何かを自分なりに学ぶことです。評論家のマネをしても仕方ありません。自分にとって本当に役立つ知恵や言葉を咀嚼し、吸収していくことが一番大切です。

 逆の言い方をすれば、自分にとって不要な情報は思い切って捨ててしまってもいい。必要なことだけに着目し、それを自分の体に落とし込むことこそ重要なのです。ならば、読書ノートに書く感想が「一言」だっていいはずです。

「全体的に多くのことを学べた」という本もあれば、「大半はどうということもなかったが、ごく一部のぺージに大いに啓発された」という本だってあります。国語のテストではないのだから「著者が何を伝えたいのか」ばかりを考える必要はありません。

 感想を書いておく場合にも、気取った言葉や借り物の考えではなく、自分がどう感じたか、どう思ったか、本音を記すことに意味があります。たとえ一言でも、自分の本物の言葉が書ければ、読書ノートをつくった甲斐がある。

 付け加えれば、書くという行為は、自分の考えを整理するという意味もあります。たとえば、冒険もののノンフィクションを読み終わったとき、読書ノートに「この人すごいなあ!」と書きたくなるとします。

 ペンを取ったときに、「まてよ、“何が、どうすごいのか”を書いておかないと、あとで読んだときにわからないぞ」と考えが働く。すると、

作者は、体力より精神力がすごいのではないだろうか。普通の感性では、目が見えなくなった時点で絶望してしまうだろう。仮にもっとパワフルな人でも生還できないに違いない。なぜ著者はこんなにメンタルが強いのか?

 と、このように、自分の感じたことを詳しく書くことができ、さらに思考を展開させていくことができるわけです。

 一言のつもりが、案外いろいろ書くことが出てきた、というケースもよくあります。書くことがないように感じても、とにかくペンを取ってみることが大事です。