12月1日、2015年春の採用に向けた会社説明会が解禁。大学3年生の就職活動が本格的に始まった。多くの女子学生は、就職後に結婚・妊娠・出産・子育て……というライフイベントが待ち構えているぶん、男性学生とは違った観点で企業選びをする必要がある。ジャーナリスト・白河桃子さんと経済産業省・坂本里和さんの対談から、“ホワイト企業”とは何なのか、そして女子の働き方や人生設計について考えてみよう。
男性も女性も一生働き続けなければいけない世代
東京都生まれ。慶應大学文学部卒。少子化ジャーナリスト、作家、大学講師。「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。2008年刊行した山田昌弘氏との共著『「婚活」時代』(ディスカバー携書)が20万部を超えるベストセラーに。主な著書に、『「婚活症候群』(ディズカバー携書)、『「妊活」バイブル 晩婚と少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社プラスアルファ新書)、『女子と就活 20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)、『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)ほか多数。
白河桃子さん(以下、白河) 今回は2015年の就活解禁に合わせて、ブラック企業ではなく「ホワイト企業」を増やそうと奔走している、経済産業省にお勤めの坂本里和さんと、今どきの働き方について、お話をうかがおうと思っています。
私も「就活、婚活、妊活」について大学生に話す機会が多いんですが、そもそも就職を考える女子学生が「働くことは当たり前」という前提がなくて就活することが間違ってると思うんです。
今のこのご時世、女子でも男子でも一生働き続けるのは当たり前。高度経済成長期やバブルを経験している親御さん世代では、まだ“妻が専業主婦になる”という選択が可能だったけど、今はそうじゃないんです。
妊娠・出産・子育て……というタイミングで一時的に働かないということはあっても“一生働き続ける”のは、多くの女子にとって大前提です。まずはそのことを覚悟して、就活をはじめてもらいたいですね。
坂本里和さん(以下、坂本) 私は、経済産業省で“日本の働く女子”を応援する部署にいるのですが、女性の活躍は“アベノミクス第三の矢”である成長戦略の中核を担う部分。海外からも「少子高齢化の重荷の中で日本経済を救うのは女性の力だ」と言われているほどです。
そういった国内外からの期待に加え、専業主婦を養える男性はほんのわずかだという事実もあります。中央大学で家族社会学を研究している山田昌弘教授の最新の調査(2010年)によると、結婚適齢期の男性で、一家を養える年収600万円以上の人は、大企業の多い首都圏でもたった5.7%しかいないそうです。今の若い世代の女性は、専業主婦になりたいという人が増えているそうで、そういった考えの人たちには非常に言いづらいのですが、白河さんのおっしゃるとおり、女性が働き続けることは、経済的な要請でもあるのです。
厳しい競争を勝ち抜いて、その5.7%の男性と結婚することができても、リストラにあわないとは限らないし、病気になったり、離婚の可能性もあります。そう考えると、“働き続ける”というのがお互いにとってベストな選択でしょう。