家を買うなら「やはり戸建てを」と希望する人は、いつの時代も、必ず一定数いる。そんな人たちは何に着目して選べばいいのか。「立地」や「価格」だけではわからない、戸建て住宅事情と2014年のマーケット予測を、不動産ジャーナリストの目黒孝一氏に聞いた。

統合で仕入れ力アップ
パワービルダー6社

不動産ジャーナリスト
目黒孝一 めぐろ こういち

1947年、北海道生まれ。不動産経済研究所で大手不動産・マンション各社、商社、住宅メーカーなどを中心に取材を重ねる。同社常務取締役を経て、2008年よりフリーで執筆活動を続ける。

 戸建て住宅市場で13年、最も大きく話題になったのが、パワービルダー6社の統合だ。6社とは、1967年に創立した飯田建設工業(現・一建設)から独立したOBたちによる会社(一(はじめ)建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホーム)で、これらが11月、共同持ち株会社(飯田グループホールディングス)を設立した。

「パワービルダーにはこのほか2、3社あるが、大半はこの6社が占めていると見ていいでしょう。この6社が、現在建売住宅市場のシェア50%を占めています。2年前まで30~40%でしたから、大変な伸びです。売れ行きはどこも好調で、いかに安く提供できるかを追求している。ここが時代に合っているのでしょう」と目黒氏。

 30坪弱の土地に、規格化されたシンプルな形状の戸建てを建て、3000万~4000万円程度で販売する。商品はバラバラ、ブランドも統一しない。住宅情報誌や物件紹介サイトを使い、価格とエリアを設定して検索をかけると、けっこうな確率でこうしたパワービルダーの建売住宅がヒットする。

「パワービルダーの資金回転率は年4回転。大手は3回転。この1回転の差が大きい。彼らは回転率を上げることで建築費を抑制できる分、仕入れに資金を回せるようになり、盛んに土地を買い付けています。また、住宅業界は職人不足が深刻化してきていますが、回転がいいパワービルダーは職人確保面も有利で、その勢いは止まりそうもありません」

 来年、再来年と、伸長していくと見られている。