金融商品や保険商品を追い続けていると、ある種の疲れのようなものを覚えることがある。とりわけここ数年はそう感じることが多かった。元々の体質に加え、97~98年の金融危機がそうさせた面もあるのだろうが、ここ数年で新たに発売されたものは、

(1)手数料の荒稼ぎ
(2)リスクの利用者への飛ばし
(3)運用収益の上前はね

の3つをひたすら追求するもので溢れていた。

 この3つをすべて備えているのが「リスク軽減型投信」で、「リスク軽減」とか「元本確保」という言葉が「預金の元本保証」を連想させ、1年目の多く見える分配金が「有利な利息収入」とほぼ同一視されて、銀行の中高齢利用者を動かした。

 また、やはり銀行で売れた変額年金保険は関係する金融会社がすべて潤うべく設計された『(1)手数料の荒稼ぎ狙い』であり、「高金利預金+投信(あるいは外貨預金)」のセット商品も同じ。

 さらに、満期を決める権利を銀行が持つ定期預金は②狙い、そして二重通貨預金は『(2)リスクの利用者への飛ばし』と『(3)運用収益の上前はね』を狙ったものだ。これらを可能にしたのが「金融工学の成果」「金融技術の発達」であるとするなら、むしろ発達などしてくれないほうがいい。そういうことの1つの帰結が、サブプライム・ショックとやらであるのだろうから・・・。

 この手の商品が横行する以前は、「金融商品に優劣はなく、利用者の事情・目的や技能・経験に合っているかどうかだ」などと素朴に思っていたが、こう次々に「騙し」や「すり替え」を見せつけられると、そうも言っていられなくなる。本当に酷い数年だったし、そういった傾向は依然として続いていて、今後もますます増幅しそうな気配だからだ。

 そして、そういう傾向とつきあい続けていると、諦めが先に立って「よいもの」を探そうという気力が萎え、性格も悪くなってしまう。第1回で郵便局のことに触れたが、この時が衰弱のボトムだったかもしれない。いずれにせよ、銀行や郵便局の新商品など買うものではない。

低コストで高品質を
追及する「セゾン投信」

 しかしながら、一方ではやはり「よいもの」も生まれている。すでに多くの方がご存じだろうが、セゾン投信という会社と、その提供商品(2本の投資信託)は「優良」の部類に入るだろう。不明にして会社名ぐらいしか知らなかったのだが、最近、知る機会を得たので紹介しておく。

 資産運用(財産形成)の1つの手段である投資信託が「優良」であるためには、何よりも運用成績が優れていることが重要だろう。しかし、過去の成績はわかっても将来の成績はわからないという根源的な問題がある。これならまあ大丈夫などと、やや無理をする形では言えても、本当に当てになるかと追及されれば、とどのつまりは結果次第としか言えなくなる。ただ、利用するからには、それなりの「期待」を持てるものではあってほしいので、運用会社や方針がどう、投資対象がどう、過去の実績がどう、資金の出入りがどう、といった情報もそれなりに大切だろう。